https://mainichi.jp/articles/20170910/ddm/005/070/008000c
http://archive.is/2017.09.10-012205/https://mainichi.jp/articles/20170910/ddm/005/070/008000c
公立小中学校の給食費徴収について、文部科学省は学校に代わり自治体が担当するよう促す方針を決めた。金銭管理や未納の家庭への督促を教員が担うケースが多いためだ。
教員本来の業務は授業や子供との関わりだ。教育上の観点からも徴収業務は、教員から外すべきだろう。
戦後全国で始まった学校給食では、慣例的に学校が食材費の徴収を担ってきた。文科省によると、全国の4分の3の市区町村では、今でも学校が給食費を徴収している。
最近は子供に現金を持たせず、銀行振り込みなどが主流になっているが、最終的な金銭管理や未納者対応は教員や事務職員が担当している。
給食費は1人あたり1カ月4000〜5000円ほどかかる。同省の2012年度の調査では半数近くの小中学校で未納者がおり、100人に1人が未納だった。家庭の経済事情や支払い拒否などによるものだ。
この未納家庭への督促が教員の負担になっている。文書や電話での督促はもとより、家庭訪問も7割近くが経験している。
滞納する家庭に出向いて怒鳴られたり、保護者との関係悪化を気に病んだりする教員も多いという。
子供も担任が督促に来れば、負い目に感じることもあるだろう。
これら学校の負担を軽減するため徴収を担う自治体も増えつつある。
長野県塩尻市は、13年度から市内15小中学校の給食費徴収を始めた。学校からは「負担がなくなり助かった」と歓迎されたという。
学校で徴収すると、未納者分の給食費を差し引いて、業者に支払いをすることになる。だが、行政が担当すれば給食費を予算化でき、未納の家庭があっても給食の水準を落とさずに済むメリットもある。
一方で課題もある。自治体業務になれば、対応する職員を新たに配置しなければならない。複数の学校が対象になるため、システム開発の費用もかかる。家庭の経済状況を無視した、取り立てのような対応にならぬよう、目配りも必要だ。
学校での徴収は給食費だけではない。教材費や修学旅行費もある。
教員には授業準備や子供と向き合う時間を確保することが重要だ。これらも自治体が徴収業務を担当していくことが望ましい。