公立中学校の給食実施率 神奈川は27% 首都圏の他都県は100%近く - 東京新聞(2017年7月14日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201707/CK2017071402000121.html
http://megalodon.jp/2017-0715-1924-45/www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201707/CK2017071402000121.html


主食とおかず、牛乳がそろった「完全給食」を提供する公立中学校の割合を首都圏の一都六県で調べたところ、神奈川県が27・1%と極端に少ないことが分かった。残る一都五県は100〜96・9%だった。給食は食育や子どもの貧困対策の面から近年再評価され、全国的に実施が主流になっている。(「子どものあした」取材班)
昨年五月一日現在の完全給食実施率を、本紙が自治体に聞き取った。神奈川県は全三十三市町村のうち横浜市など十二市町で実施校がゼロで、弁当持参が基本になっている。
神奈川で実施率が低い背景に、横浜、川崎という巨大自治体を抱え「戦後に子どもが急増した自治体で、教室などの整備を優先した」(文部科学省の担当者)との事情がある。横浜市は「給食施設の設置費や土地の確保が困難だった。家庭の弁当には、体調や食べる量に合わせて作れる良さもある」などと説明する。
学校給食法は給食の実施へ努力を求め、文科省によると、二〇一五年の全国の中学校給食の実施率は88・8%と年々上昇傾向。近年は、共働き家庭の増加で弁当作りが負担だとの声があること、貧困家庭の深刻化で子どもの栄養面への懸念などから、給食は再び注目されている。
跡見学園女子大・鳫(がん)咲子教授(行政学)は「無料や低額で食事を提供する『子ども食堂』の活動が広がるなど、満足な食事を取れない子どもへの対応は社会的課題。栄養バランスに優れ、就学援助の対象にもなる給食には、食生活の格差を埋めるセーフティーネットの役割が期待できる。子どもの権利の視点で考えることが必要ではないか」と指摘している。