https://mainichi.jp/articles/20170719/k00/00m/040/049000c
http://archive.is/2017.07.19-073232/https://mainichi.jp/articles/20170719/k00/00m/040/049000c
静岡県吉田町は来年度から、町内の小中学校の夏休みを最短で土日含め連続で16日間程度とする方向で検討している。授業日数の確保や教育現場の負担軽減などが狙い。授業日数確保などを目的に夏休みを短縮する自治体は増えているが、専門家は「20日間を切るというのは全国的にも珍しい」としている。
18日には文部科学省の高橋道和・初等中等教育局長らが町内の小学校を視察。「教員の長時間労働は全国的な課題。子どもの学力にも成果が出れば大いに注目すべき取り組みだと思う」と述べた。
吉田町の夏休みは、2008年度まで小学校で40日間前後だったが、10年度は29日間に短縮された。今年度は小学校が8月1〜24日の24日間、中学校が7月25日〜8月22日の29日間で、年間の授業日数は210日。来年度は16連休程度の方針だ。授業日数を増やせるため、現在は主に1日5〜6時限の時間割に4時限の日の導入が可能となるほか、教員の授業準備に余裕ができるという。町学校教育課は「授業の質が上がり、子どもの学力向上につながる」と説明する。
夏休み短縮には「教員の長時間労働の解消」という目的もある。昨年度の同町の教職員の時間外勤務は、小学校で月平均57・6時間、中学校で90・1時間。これを小学校は40時間以内、中学校は60時間以内に減らせる。
同町は短縮の事情を保護者に説明したが、保護者からは「夏休み中に行われるスポーツ少年団の大会や活動に参加できなくなる」などの声も上がった。
授業日数の確保などを目的とした夏休み短縮は全国的な傾向だ。高松市は15年度から市立小中で夏休みを1週間短くした。市の担当者は「一時は土曜授業を試験的に導入したが、部活動や大会との兼ね合いで難しく夏休み短縮で対応した」。19年度から夏休みを6日短縮する予定の北九州市の担当者は「1日に授業を詰め込むのは限界で、余裕あるカリキュラムにするためには短縮はやむを得ない」としている。
静岡大の山崎保寿教授(教育学)は「学力向上と教員の多忙化解消を進めながら、夏休みを利用した家庭教育とどう調和させていくかが今後の課題になる」としている。【松岡大地】小中学校の夏休みを短縮する主な自治体
自治体名 実施時期 日 数吉田町(静岡県) 18年度 24→16日間程度
29→16日間程度
高松市 15年度 42→35日間
北九州市 19年度 42→36日間
大分市 17年度 42→35日間
※予定を含む。吉田町は上段が小学校、下段が中学校