働き方法案に「共謀罪」・安保法の手法 「残業代ゼロ」根幹残し一括化 - 東京新聞(2017年9月9日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201709/CK2017090902000140.html
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秋の臨時国会に提出される「働き方改革」関連法案のうち、労働基準法を改めて「残業代ゼロ」制度(高度プロフェッショナル制度)を創設する部分は、継続審議となっている法案を取り下げ、他の法案と一括化して出し直す。かつての「共謀罪」法や安全保障関連法と似通う手法だ。
「残業代ゼロ」制度は、高収入の一部専門職を労働時間規制から外す。政府はこれを柱とした労基法改正案を二〇一五年の通常国会に提出したが、一度も審議入りしていない。
法案要綱では、関連法案のうち「残業代ゼロ」を導入する労基法改正案は、休日確保措置などが新たに盛り込まれたが、従来の法案と根幹部分は変わらない。
批判が強い法案の内容を微修正して出し直すやり方は「共謀罪」法と重なる。「共謀罪」法案は〇三、〇四、〇五年に国会提出され、「人権侵害につながる」との懸念が出て廃案に。安倍政権は構成要件を一部変更した上で罪名を「テロ等準備罪」に変え、今年六月に成立させた。
また、今回の法案は残業時間の上限規制や正社員と非正社員の待遇差縮小など、性格の異なる法案と一括化して提出する。審議時間を短縮するのが狙いで、「残業代ゼロ」など個別の制度の是非を巡る審議が不十分になる可能性がある。
多くの法案と抱き合わせる手法は、一五年九月に成立した安保関連法と似ている。同法も、集団的自衛権行使を可能にする武力攻撃事態法、地球規模で米軍を支援可能にする重要影響事態安全確保法など十本を一本化し、批判を受けた。
政府が提出した法案を自ら取り下げるのも異例。二〇〇〇年以降では、衆参の多数派が異なる「ねじれ国会」で成立を断念するなど計八法案だけだ。
一橋大大学院法学研究科の只野雅人教授(憲法、議会制度)は「政治的な思惑から法案を一括化することは、審議の充実という観点から問題がある。賛否が分かれる法案は個別に提出し、別々に議論すべきだ」と話す。 (木谷孝洋)