「共謀罪」通常国会提出へ 野党・日弁連は反対 - 東京新聞(2017年1月6日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201701/CK2017010602000119.html
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安倍晋三首相は五日、犯罪計画を話し合うだけで処罰対象とする「共謀罪」の趣旨を盛り込んだ組織犯罪処罰法改正案を二十日召集の通常国会に提出する方針を固めた。共謀罪に関しては、国民の思想や内心の自由を侵す恐れがあるとの批判が根強い。捜査機関の職権乱用などによって人権が侵害されるとして、日弁連共産党は反対している。民進党内でも反対論が強く、提出されれば国会で激しい議論になる。
首相は五日の自民党役員会で、「共謀罪」法案の早期成立を目指す考えを示した。首相はこの後の政府与党連絡会議でも、通常国会に関して「大きな法案の提出も予定されている」と指摘した。
与党の公明党内には、組織犯罪処罰法や通信傍受法が既に存在していることを踏まえ、「共謀罪」創設は不要との意見がある。公明党が重視する都議選が今夏に控えていることもあり、調整が必要となる。
菅義偉(すがよしひで)官房長官は五日の記者会見で、「共謀罪」法案の通常国会への提出に関して、二〇二〇年の東京五輪パラリンピックに向けテロ対策の強化が必要だと主張し「テロを含む組織犯罪を防ぐことは、国民も望んでいる。これまでの国会審議の意見を踏まえ、最終検討している」と述べた。
自民党二階俊博幹事長は五日の記者会見で「政府の方針に従って党も協力していきたい」と述べた。
政府は、国連が〇〇年に採択した国際組織犯罪防止条約の批准に向けて、小泉政権下の〇三年に初めて同法案を国会に提出した。しかし、野党や世論の反発で廃案になった。その後、小泉政権は二回提出したが、いずれも廃案となった。第二次安倍政権の発足後も提出が検討されたが、提出に至らなかった。

国際組織犯罪防止条約 複数の国にまたがる組織犯罪を防ぐため、各国が協調して法の網を国際的に広げるための条約。重大犯罪の共謀や、犯罪で得た資金の洗浄(マネーロンダリング)の取り締まりを義務付けている。国連総会で2000年11月に採択。12月にイタリア・パレルモで条約署名会議が開かれ、日本も署名した。政府は「共謀罪」の法整備が条約締結の要件だとして組織犯罪処罰法改正を目指すが、成立に至っていない。世界180以上の締結国全てが法整備したわけではないとの指摘もある。