「共謀罪」意見公募せず きょうから委員会審議 - 東京新聞(2017年4月14日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201704/CK2017041402000119.html
http://megalodon.jp/2017-0414-0953-41/www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201704/CK2017041402000119.html


自民党民進党は十三日の国対委員長会談で、「共謀罪」の趣旨を含む組織犯罪処罰法改正案に関し、十四日に衆院法務委員会で趣旨説明を行い、審議入りすることを確認した。与党が十二日に介護保険関連法改正案の採決を強行した問題を巡り、自民党が陳謝し、国会正常化で合意した。政府は、広く意見を募るパブリックコメントパブコメ=意見公募)を実施せずに「共謀罪」法案を閣議決定しており、民意を知る手続きを行わず国会の本格論戦が始まる。 (安藤美由紀、清水俊介)
パブコメは国が法律や政省令を定める際、事前に国民から意見を募る制度。総務省によると、法律は各府省が独自に制定する政省令と異なり、国民の代表である国会議員が審議することからパブコメを実施する法的義務はない。
ただ、国民の関心が高い法案は、所管する省庁の判断で実施することが珍しくない。国民の「知る権利」を侵す恐れのある特定秘密保護法では、二〇一三年の法案提出前にパブコメを実施。十五日間で九万件超の意見が集まった。八割近くが反対意見で、法案には反映されなかったが、反対運動が広がる契機になった。
成人年齢を十八歳に引き下げる民法改正(法案未提出)でも、法務省が昨年九月にパブコメを行った。安全保障関連法では行わなかった。
パブコメによって制度が変わった例もある。二〇一四年公布の改正生活保護法に関する厚生労働省の省令では、千百六十六件の意見のほとんどが生活保護の申請手続きの厳格化を緩和するよう求める内容で、厚労省は省令に反映させた。総務省によると、一五年度に行われた行政手続法に基づく政省令などのパブコメ千三十件のうち、意見提出があったのは七百三十五件。意見を考慮したものは百五十三件(20・8%)。
共謀罪」法案には多くの懸念が出されており、成立すれば国民生活に大きな影響を与える。
今回、パブコメをしなかったことについて、所管する法務省刑事局の担当者は「法律で義務づけられていない。国会でも審議される」と説明。政府が「共謀罪」法案を過去三回、国会提出した際も、パブコメ制度の前身「意見提出」を含めて実施しなかったという。
パブコメを研究するNPO法人市民社会研究所」代表理事の松井真理子・四日市大教授は「一人一人が(国に)直接、公式にものを言えるパブコメがなかったことは残念。国民に直結する法案はパブコメにかけるべきだった」と指摘。学習院大の常岡孝好教授(行政法学)は「国民の関心が高い案件。(国会で)公聴会を開き、広く意見を聴くことが強く求められる」と話した。
パブコメ制度> 国が政令や省令、許認可の審査基準などを定める際、公正さを確保するため国民から意見を募る仕組み。2005年の行政手続法改正で法制化された。意見を募る期間は原則30日間で、提出された意見は「十分に考慮しなければならない」と定めている。