首相、迷走と訂正 「加計」答弁で先月と矛盾 - 東京新聞(2017年7月26日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201707/CK2017072602000127.html
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安倍晋三首相は二十五日の参院予算委員会の閉会中審査で、学校法人「加計(かけ)学園」の獣医学部新設計画を把握したのは、今年一月二十日だと重ねて表明した。野党から先の通常国会での答弁との食い違いを指摘されたのに対し、首相は「急な質問で整理が不十分で混乱していた。おわびし、訂正したい」と過去の答弁を修正した。迷走する首相答弁に対し、野党は「全く信頼できない」と反発。学園の加計孝太郎理事長の証人喚問を要求した。 (金杉貴雄)
首相は二十四〜二十五日の衆参予算委の審議で、国民の疑念を払拭(ふっしょく)するきっかけをつかみたい考えだったが、答弁修正で自身の発言の信頼性を損なう結果になった。野党は引き続き国会審議を求めており、問題の沈静化は見通せない。
首相は参院予算委で、愛媛県今治市獣医学部を新設する加計学園の計画を把握した時期について「(国家戦略特区での)申請を決定する段階の今年一月二十日に初めて承知した」と改めて強調した。首相は六月十六日の参院予算委では、加計学園の計画を知った時期について「構造改革特区で申請されたことは承知していた」と述べていた。
今治市は二〇〇七年から一四年まで十五回にわたり構造改革特区で獣医学部を申請し、〇七年当時、事業者候補を「加計学園」と明記していた。政府が今年四月に閣議決定した答弁書では、首相が計画を把握した時期に関し「今治市からの構造改革特区提案に加計学園が候補と記載されている」と明記していた。
民進党蓮舫代表や共産党小池晃氏らは、首相の「一月二十日」との説明はこうした経緯と「矛盾している」と追及した。
これに対し、首相は過去の答弁に関し「今治市加計学園の申請など整理が不十分なまま答えた」と説明した。第二次安倍政権以降も四回あった構造改革特区での今治市の提案も「全く認識していなかった」と答弁を修正した。
一方、山本幸三地方創生担当相、山本有二農相、松野博一文部科学相の三閣僚は、計画認定前の昨年八〜九月に加計氏の訪問を受けたと明らかにした。うち山本幸三、有二の両氏は「獣医学部新設が話題になった」と認めた。
小池氏は「(加計氏は閣僚に)なぜ次々と会えるのか。担当閣僚は獣医学部構想を知っているのに、首相だけが知らないとは信じられない」と疑問視した。
構造改革特区と国家戦略特区> 構造改革特区は、国の規制を地域限定で緩和し地域を活性化させることを目的に2002年に創設された。自治体や企業などからの提案を受け、各省庁が審査する。国家戦略特区は第2次安倍内閣が13年、成長戦略の柱として導入。首相を中心として政治主導で認定し、政権の政策がより反映されやすいとされる。