「加計」「日報」で閉会中審査 特区の認定白紙に戻せ - 朝日新聞(2017年7月25日)

http://www.asahi.com/articles/DA3S13053930.html
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安倍首相の「腹心の友」に便宜を図るために、公正であるべき行政がゆがめられたのか。
首相が出席したきのうの衆院予算委員会の閉会中審査でも、疑念が晴れることはなかった。
内閣支持率の急落と相次ぐ選挙での敗北を受け、低姿勢で臨んだ首相だが、肝心な点になると、政府側の答弁はあいまいな内容に終始した。約束した「丁寧な説明」にほど遠い。
このまま加計学園による獣医学部の新設を進めても、多くの人の納得が得られるはずがない。国家戦略特区の認定手続きをいったん白紙に戻し、プロセスを踏み直すべきだ。
首相は、加計学園が特区に手を挙げていること自体、知ったのは、学園が事業主体に決まった今年1月だと答弁した。

にわかに信じがたい。
首相は特区諮問会議の議長でもある。15年12月の資料には、既に愛媛県今治市獣医学部を造る計画が明記されていた。県と市は10年前から加計学園による獣医学部新設を訴えており、関係者の間では「今治=加計」は共通認識になっていた。首相だけが知らなかったのか。
資料が作成され、審査が進んでいる間も、首相は学園の加計孝太郎理事長と会食やゴルフを繰り返していた。首相は親密な間柄を改めて認めた。2人の仲で、特区の件は話題にすらならなかったのだろうか。
きのうの審議では、首相側の思惑とは逆に、「加計ありき」を疑わせる新たな事実が明らかになった。昨年11月、諮問会議が獣医学部規制緩和を決める前日に、文部科学省加計学園に対し、さまざまな助言をした文書が残されていることを、松野文科相が認めたのだ。

この「優遇」の理由についても説得力ある説明はなかった。
加計理事長や今治市の関係者に確かめたいことは多い。官邸や内閣府とどんなやり取りをしてきたのか。なぜ事業主体に決まる前から、予定地のボーリング調査を開始できたのか。国会でぜひ説明してもらいたい。
きのうも政府側からは「記憶にない」「記録がない」が連発された。首相秘書官だった柳瀬唯夫氏は、15年春に今治市職員と官邸で面会したのではないかと野党議員に問われ、「記憶にない」と述べた。入館記録も「ない」と首相が答弁し、官邸のセキュリティーは大丈夫かと議員から皮肉られた。
都合の悪い「記録」が出てくるたびに、「記憶がない」でそれを否定しようとする。こんな態度をとり続ける限り、国民の信頼は取り戻せない。