愛媛県の文書に「首相案件」 加計開学で決着ではない - 毎日新聞(2018年4月11日)

https://mainichi.jp/articles/20180411/ddm/005/010/140000c
http://archive.today/2018.04.11-014141/https://mainichi.jp/articles/20180411/ddm/005/010/140000c

学校法人「加計学園」の獣医学部が今月開学し、学部新設をめぐる一連の問題に幕引きを図ろうとしてきた安倍政権側の思惑は外れた。
2015年4月に愛媛県今治市の職員と学園幹部が首相官邸を訪れた際の「備忘録」の存在が報じられ、中村時広愛媛県知事が認めた。今治市が国家戦略特区への指定を申請する2カ月前のものだ。
この文書によると、面会当時の柳瀬唯夫首相秘書官(現・経済産業審議官)が「本件は、首相案件」だとして国家戦略特区での実現を強く勧めたことになっている。
面会自体を否定してきた政権側の言い分と真っ向から食い違う。柳瀬氏は「自分の記憶の限りでは、愛媛県今治市の方にお会いしたことはない」とのコメントを出したが、根拠を示さずに記憶だけで文書の記録を否定しても説得力はない。
加計学園獣医学部新設をめぐっては、許認可権限を持つ文部科学省に「首相官邸から圧力がかかり、行政がゆがめられた」と前川喜平前文科事務次官が批判している。「総理のご意向」だとする内閣府職員の発言も文科省の文書に残されていた。
その背景には、安倍晋三首相が「腹心の友」と呼ぶ学園理事長との関係がある。県の文書には、首相と理事長が会食した際に学部新設が話題に上ったことを示す記述もあった。
ところが、政権側は前川氏の主張を全面否定し、安倍首相は加計学園が特区の対象事業者になっていることを認定当日の昨年1月20日まで知らなかったと国会で答弁している。
悲願の獣医学部誘致に「加計ありき」で取り組んできたのは愛媛県であり、首相の知らないところで県・市側の努力によって実現したというのが政権側の説明だ。
県の文書の内容はこの説明と大きく矛盾している。
文書によれば、柳瀬氏の方から「自治体がやらされモードではなく、死ぬほど実現したいという意識を持つことが最低条件」だとけしかけたとされる。これが事実なら、むしろ積極的なのは国側であり、特区認定も国主導だったことになる。
衆院予算委員会ではきょう首相の出席する集中審議が行われる。言った、言わないの水掛け論ではもう済まされない。徹底究明が必要だ。