http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/ronsetu/CK2017071902000135.html
https://megalodon.jp/2017-0721-0910-18/www.tokyo-np.co.jp/article/column/ronsetu/CK2017071902000135.html
「Jアラートで緊急情報が流れたら、慌てずに行動を」。弾道ミサイルの落下に備えるよう呼びかける政府広報が先月二十三日、新聞各紙に掲載された。
この日は東京都議選の告示日。「危機が迫っている」とあおり、時の政権の求心力を高める手法は、古くから政治のイロハのイ。それにならったのかは不明だが、結局、自民党は歴史的大敗を喫した。
北朝鮮は、米国に攻撃されたリビアやイラクの二の舞いにならないよう強力な抑止力を持てば、米国との交渉に臨めるとして核兵器とミサイル開発を進めてきた。度重なるミサイル発射は米国へ向けたメッセージである。
そのミサイルがなぜ、日本に落ちるのか。政府の説明はゼロに等しい。
教えてほしい。米国による北朝鮮攻撃が迫っているのか、一兆四千億円かけた自衛隊の迎撃システムは無力なのか、原発に被害が出た場合、どこへ避難するのか。
北朝鮮はわが国同様、軍事行動の対象は軍事目標のみとするジュネーブ条約第一追加議定書の締約国だが、日本政府は民間施設への落下を想定して警戒を呼びかける。
何の説明もないまま、「ミサイルに備えよ」との政府広報はテレビCMに進出した。自治体による避難訓練も続出している。北朝鮮に対する政府方針は「対話と圧力」。圧力を国内に向けてどうするのか。 (半田滋)