「共謀罪」法施行 警察監視の独立機関が必要 法律家ら提言 - 東京新聞(2017年7月12日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201707/CK2017071202000132.html
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共謀罪」の趣旨を含む改正組織犯罪処罰法が十一日、施行された。八つの法律家団体で構成する「共謀罪法案に反対する法律家団体連絡会」は、法の廃止を訴えるだけでなく、警察の乱用を防ぐため、第三者機関の設置を提言している。国会審議を経ても、心の中や表現の自由、プライバシーなどを侵される懸念は解消していないためだ。メンバーの小池振一郎弁護士は十一日、東京都内で開かれた集会で「共謀罪による人権侵害を救済できる公的な独立機関が必要だ」と訴えた。(土門哲雄)
共謀罪は、犯罪実行前の計画段階で捜査、処罰するため、当事者の通信や会話内容、関係者の供述が偏重され、監視社会となったり、冤罪(えんざい)を招いたりする恐れが高いとされる。プライバシー権に関する国連特別報告者ジョセフ・ケナタッチ氏も、警察を監督する第三者機関の設置を提言している。
小池弁護士によると、第三者機関は、共謀罪容疑などで捜索や取り調べなどを受けた人が人権救済を求めることができる「駆け込み寺」の役割を担う。政府から独立し、公金で運営する機関で、弁護士や大学教授ら人権に関わる有識者が委員を務める。警察の情報収集や捜査活動について報告を求め、手続きに問題があれば指摘するなどして、法の乱用に歯止めをかける。
警察捜査などで人権侵害があった場合、警察に問い合わせても事実が明かされず、協力を得られないことも考えられる。日弁連人権擁護委員会も調査に限界があり、裁判を起こせば時間や費用がかかる。これに対し、公的な第三者機関があれば、被害者に代わって調査し、問題があれば是正勧告などができる。
国連は一九九三年、加盟国の人権水準向上のため、「国内人権機関」に関する原則を国連総会決議で承認。現在百二十カ国以上が設置しているが、日本にはない。海外では警察捜査、拘置所、刑務所での人権侵害、民間を含めた差別的扱いなどについて人権救済や予防といった機能を担っている。
小池弁護士は「裁判官による捜索差し押さえや逮捕令状はほぼ警察側の請求通りに出ている。警察を管理する立場の公安委員会も事務は警察職員が担っており、ほとんど機能していない。法施行とセットで、ブレーキ役の第三者機関が必要」としている。