(政界地獄耳)「クズ」「ゲス」政治も言論も荒い - 日刊スポーツ(2017年6月19日)

https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/1842836.html
http://archive.is/2017.06.19-043640/https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/1842836.html

18日付朝日新聞の見出しのように、「認めない・調べない・謝らない強引答弁で国会閉会へ」とあいなった。「加計学園」問題の一連の報道では、普段使わないような言葉が横行した。例えば産経新聞岸博幸・慶大院教授インタビューを掲載したが、見出しは「前川氏は官僚のクズ…文科省後輩たちに迷惑だ」だった。仮にも事務次官経験者を紙面で「クズ」とするのは岸も産経もやりすぎだ。
自民党副総裁・高村正彦は16日の党役員連絡会のあいさつで、野党の批判を「野党の一部にある『ゲスの勘ぐり』を払拭(ふっしょく)していただきたい」と発言。同党幹事長・二階俊博は「『ゲスの勘ぐり』なんて言葉、ほとんど使用禁止用語。今後そういうことのないようにしたい」と苦言を呈した。さて法相・金田勝年は答弁で「私の頭脳で対応できなくて申し訳ない」とし、野党の問責決議の理由も「所管する法律の内容が理解できず、1人ではまともに答弁できない」という辛辣(しんらつ)なもの。参院本会議で問責の反対意見を述べた公明党参院議員・佐々木さやかは「金田法相は昨年8月に大臣に就任して以来、誠実かつ真摯(しんし)な答弁を行うなど国民のために尽くした」。ここまで言えば、また党に佐々木が言わされているなら、茶番も度を超える。政治も言論も荒い。
京都新聞で作家・高村薫が共謀罪成立で指摘する。「悪いのはぜんぶ私たちですよ。政権のウソを見抜くことができず、高い支持率を与え、好き勝手にさせてしまったのだから。ある意味、平和や民主主義が保障されてきた戦後社会に慣れすぎていた。安心感を覚え、権力に対する警戒心が失われていた。そう、この70年、権力は『優しい顔』をしていたんですよ。いつ権力が私たちに牙をむくか分からないのに。共謀罪はまさにそういう法律だったのです。私たちは本当に取り返しのつかないことをした、今は、そのことを肝に銘じることしかできない」(一部抜粋)。(K)※敬称略