(地獄耳) 政権の異常性へポスト安倍担う発言と覚悟を - 日刊スポーツ(2020年2月22日)

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20日午後の衆院予算委員会にどよめきが起こった。東京高検検事長・黒川弘務の定年延長をめぐり野党が攻勢を強めた。人事院給与局長・松尾恵美子は国家公務員法の定年延長規定を検察官にも適用可能とした法務省の法解釈の変更を認める際、部内で決裁を取らずに了承したと述べた。その際、法務省が作成した文書と人事院が「特に異論を申し上げない」と回答した文書に日付がないと野党がただすと法務相森雅子は「必要な範囲で決裁を受けたと認識している」とするも、松尾は「決裁を取っていない」と答弁した。

★文書に日付が入らないなど公務員をはじめ、国民が何かの手続きで区役所、市役所に出向き、申請書類を出すだけでも必ず日付を確認される。それなのに法務省検察庁人事院も、そんなずさんでいいかげんな文書のやりとりが許されるはずもない。与野党の官僚出身の政治家ならばこの異常性には驚くはずだ。だが声を上げるのは野党議員ばかり。与党の議員は自分たちが独裁政治の中のユーゲントであることに気付いていないのだろうか。

20日は木曜日で自民党の派閥の会合が集中する日だが、岸田派では党政調会長岸田文雄が「敬意のもとにしっかりと答弁する。国会全体の品位について我々はいま1度考えるべきではないか」、また石破派会長で元幹事長・石破茂は「森法相がずっと(予算委で)説明されているが、我々はどうやって有権者に説明するのか。国会さえ乗り切ればそれでいいと思うのは、主権者に対する説明責任を果たすことでは決して十分ではない」と発言した。だが政権の強引で怪しげな運用や答弁に対して与党幹部は時折ちくりと苦言を言うだけだ。この対応が安倍政治を作り上げ官僚に恐怖政治を強いてきたのだ。ポスト安倍といわれる2人がその場しのぎの注文だけ言っているのならば安倍政治を補完していることにほかならない。ポスト安倍を担うだけの発言と覚悟が足らないのではないか。(K)※敬称略