いま読む日本国憲法(40)第64条 立法が司法チェック - 東京新聞(2017年4月1日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/imayomu/list/CK2017040102000134.html
http://megalodon.jp/2017-0401-0935-31/www.tokyo-np.co.jp/article/politics/imayomu/list/CK2017040102000134.html


国会に関する規定を並べた第四章(四一条〜)最後の条文。裁判官の罷免、つまり辞めさせるかどうかを決める弾劾裁判所について定めています。三権分立の中で、立法が司法をチェックする役割を定めた条文と言えます。
弾劾裁判所では、裁判官役の「裁判員」は衆参各七人の国会議員で構成。訴追された裁判官が「職務上の義務に著しく違反し、又(また)は職務を甚だしく怠ったとき」「裁判官としての威信を著しく失うべき非行があったとき」(裁判官弾劾法二条)に罷免します。これまでに弾劾裁判を受けた裁判官は延べ九人で、うち七人が罷免されました。
弾劾裁判所とは関係ありませんが、自民党改憲草案は「六四条の二」として、政党条項を新たに設けています。政党は議会制民主主義に不可欠とした上で、国が政党の「活動の公正」を確保し「健全な発展」に努めるよう求めています。
草案Q&Aは、現行憲法には政党に関する規定がなく、政党法も存在しないことに触れ「憲法に(政党についての)規定を置くことにより、政党助成や政党法制定の根拠になる」と説明しています。
しかし、「公正」や「健全」はあいまいな概念です。このため、自由であるべき政党活動が「政府の判断に従属させられるのではないか」と懸念する声が出ています。
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「読むための日本国憲法 東京新聞政治部編」(文春文庫)をベースに、憲法の主な条文の解説を随時掲載しています。

自民党改憲草案の関連表記
(六四条は現行条文とほぼ同じ)
 六四条の二
(1)国は、政党が議会制民主主義に不可欠の存在であることに鑑み、その活動の公正の確保及びその健全な発展に努めなければならない。
(2)政党の政治活動の自由は、保障する。
(3)前二項に定めるもののほか、政党に関する事項は、法律で定める。