ハンセン病 隔離法廷、検察にも責任…元患者側に説明へ - 毎日新聞(2017年3月30日)

http://mainichi.jp/articles/20170330/k00/00m/040/175000c
http://archive.is/2017.03.30-014005/http://mainichi.jp/articles/20170330/k00/00m/040/175000c

ハンセン病患者の裁判が裁判所外の隔離施設などに設置された「特別法廷」で開かれていた問題で、最高検が元患者側に対し、差別的な運用を認識しないまま裁判に関わった責任を認める方向で検討していることが分かった。31日に元患者を支援する弁護士らと面会して総括した内容を説明する見通しだ。
最高裁は地裁などの上申に基づき、1948〜72年にハンセン病を理由とする特別法廷の設置を95件許可した。大半は刑事裁判とされる。許可率は99%に上っており、最高裁は昨年4月、合理性を欠く差別的運用が強く疑われるとする調査報告書を公表して謝罪していた。
施設に強制隔離された元患者らで作る全国ハンセン病療養所入所者協議会(全療協)などは2012年11月、特別法廷で審理された刑事裁判で唯一死刑が言い渡され、62年に死刑が執行された「菊池事件」について、差別で裁判がゆがめられたとして検察に自ら再審請求するよう要請。最高裁の調査報告書を踏まえ、昨年中に結論を出すよう求めていた。
関係者によると、最高検は要請を受け特別法廷で審理された刑事裁判の記録などを確認し、検察官の責任の有無を検討。特別法廷の設置者ではなかったものの、治療薬の普及で確実に治る病気になった60年以降も、誤った運用との認識を欠いたまま裁判に参加し続けた責任を認める方向で最終調整している。
一方で菊池事件については手続き上の問題だけで再審請求することはできないと判断しているとみられ、31日の面会で請求しない方針を伝える見通し。審理に法令違反が見つかった場合に検事総長が確定判決の是正を求める非常上告も見送るとみられる。【石山絵歩、飯田憲、平塚雄太】