いじめ調査の4割が結果非公表 第三者委が15年度実施 - 東京新聞(2017年2月20日)


http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201702/CK2017022002000116.html
http://megalodon.jp/2017-0220-0903-43/www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201702/CK2017022002000116.html

公立学校で起きた重大ないじめを調べるため、全国の教育委員会が二〇一五年度に設置した第三者委員会による調査で、審議継続中を除く三十八件のうち、四割以上に当たる十三都府県の計十八件の結果が公表されていなかったことが十九日、共同通信の調べで分かった。公表されなければ検証や再発防止策の共有は困難になり、判断の妥当性が問われそうだ。九自治体は、調査した委員の氏名も明らかにしていなかった。
十三都府県には東京、茨城、埼玉が含まれる。文部科学省は「特別な事情がない限り公表が原則」との立場。東京電力福島第一原発事故福島県から横浜市自主避難した生徒のいじめ問題では、報道されるまで結果を公表せず批判が起きた。
文科省の問題行動調査(速報値)によると、一五年度に全国でいじめの「重大事態」は三百十三件あり、第三者委など学校以外が調査主体となったのは四十九件。第三者委に諮問される事案は、学校で調査されるものよりも深刻なケースが多いという。
共同通信は各都道府県教委や市区町村教委に取材や情報公開請求を実施。多くは自治体名を報道しないとの条件で取材に応じた。その結果、調査継続中の十一件を除く三十八件のうち、調査内容が公表されたのは十六件で、非公表が十八件に上っていた。四件は不明。
非公表十八件中十六件でいじめが認定されたことが取材で判明。十六件のうちの六件は、いじめ防止対策推進法に基づく重大事態の分類中、児童生徒の生命、心身や財産に大きな被害が生じた疑いがある「1号」に該当していた。
調査結果を公表しなかった主な理由としては「個人が特定される恐れがある」(青森、滋賀両県の自治体など)。新潟県自治体は「公表を前提にしてこず、今後の課題」と認めた。調査委員の氏名を伏せた東京都の自治体は「公表に関する規定がない」とした。
生徒が自殺した問題を調査した名古屋市は学校名や生徒氏名を伏せた報告書を公表し、ホームページ(HP)にも掲載。東京都町田市は児童の不登校事案を調べ、結果の概要をHPに載せた。

<いじめ防止対策推進法> 2011年に大津市の中2男子がいじめを苦に自殺したのをきっかけに、与野党議員立法で13年に制定された法律。重大ないじめがあった際には、学校に文部科学省自治体への報告を義務付けた。学校か教育委員会、学校法人の下に第三者委員会などの調査組織を置いて事実関係を明らかにし、被害者側に適切な情報提供を行うことも盛り込まれている。