保育所の定員増、4割が未達成 待機児童多い33市区の整備状況 - 東京新聞(2017年1月10日)

http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2017011090070110.html
http://megalodon.jp/2017-0110-1013-53/www.tokyo-np.co.jp/s/article/2017011090070110.html

今年四月に新設予定の認可保育所の定員が、待機児童が多い南関東の三十三市区の約四割に当たる十三市区では、整備目標に届かず計二千五十人分下回る見通しであることが、本紙が行ったアンケートで分かった。土地探しや保育士の確保が難しいことなどから、自治体の募集に応じる保育事業者が少ない実態が浮かんだ。 
「『場所がない』『保育士の確保が大変』といった理由で、思ったほど事業者から手が挙がらなかった」。目標の達成率が31%と最も低かった中野区の担当者がこぼす。昨年四月に待機児童が増えたため、補正予算で家賃補助を増やし、九百七十人分の新設を目指して保育事業者を募集。しかし、開設見込みは三百一人分にとどまった。
港区は目標が三十三市区で最少の六十人分だが、やはり達成できない見通し。区には、延べ床面積三千平方メートル以上の新築マンションで一割のスペースを公共的な施設にするよう求める要綱があるが、「なかなか保育所は造ってもらえない」と担当者。昨年七月に要綱を変え、保育所開設に限って1%の面積に縮小。三千平方メートルのマンションでは三十平方メートルと現実的ではないが、「一万〜五万平方メートルの大型開発があり、1%あれば保育所は造れる」。
土地探しや保育士確保に時間がかかることを見越し、保育事業者を早めに確保しようとする自治体もある。横浜市は今年四月開設に向け、予算決定前の昨年一月に募集を開始。これが功を奏し、目標の一・五倍の二千四百七人分を新設できる見込みになった。千葉市や千葉県市川市も、来年四月の開設分から募集を前倒しするという。
三十三市区の昨年四月の待機児童数は計七千二百十二人で今年四月の整備目標は計二万八百九十人分。待機児童数は国の定義に基づき、保護者が求職中や育休中の子どもは除くなど実際の保育ニーズより少なく出るため、この数字以上の目標を立てる自治体が多い。

<調査方法> 昨年11月下旬〜12月上旬、東京23区と南関東の5政令市、昨年4月の待機児童数が200人以上だった5市の計33市区を対象に、本年度初めに立てた今年4月までの認可保育所新設の目標定員と、実際に開設できる見通しの定員数を尋ねた。
認可保育所> 資格を持つ保育士の割合や、1人が世話する子どもの数、施設面積などが国の基準を満たし、国の補助を受ける施設。原則、ゼロ歳から就学前まで通える。保育料は所得に応じて自治体が決める。認可外施設は一般的に認可保育所より基準が緩く、東京都認証保育所など自治体独自に設置する施設と、ベビーホテルなどがある。