退位関連法案 19年元日に新元号、今春以降提出 - 毎日新聞(2017年1月10日)

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政府は2019(平成31)年1月1日に皇太子さまが天皇に即位し、同日から新元号とする検討に入った。国民生活への影響を避けるため、新元号は元日から始まるのが望ましいと判断した。天皇陛下が昨年8月に退位の意向がにじむおことばを表明した際に「平成30年」に言及したことや、即位に伴う儀式などの準備に要する期間も考慮した。政府は退位に関する関連法案を今春以降、国会に提出する。
菅義偉官房長官は10日午前の記者会見で「現在、有識者会議で予断を持つことなく静かに議論してもらっている」とだけ語った。
陛下は昨年8月のおことばで「戦後70年という大きな節目を過ぎ、2年後には平成30年を迎えます」と自ら言及していた。政府の退位に関する有識者会議のなかにも「おことばから類推すると平成30年は一つのメルクマール(道しるべ)」(御厨貴座長代理)との受け止めがあり、有識者会議での議論もふまえた。
安倍晋三首相は今月になり、菅官房長官杉田和博官房副長官らと退位時期や関連法案の内容などについて協議した。具体的な退位の日程については今月20日召集の通常国会に提出する関連法案には明記せず、政令で定める案が有力視されている。
政府は今の天皇陛下に限り退位を認める特別立法で対応する方針だ。政府の有識者会議はこれまでの議論を踏まえ、今月23日に「論点整理」を公表する。陛下に限り退位を認める特別立法と、特別立法で例外的な退位を認める根拠規定を皇室典範の付則に書き込む案を併記する方針だ。
国会では16日に予定されている衆参両院の正副議長による合同会議で、退位に関する議論がスタートする。その後、正副議長を中心に各会派の意見聴取が行われ、両院で退位に関する議論が本格化する。【田中裕之】

【ことば】元号法
元号は、政令で定める」「元号は、皇位の継承があった場合に限り改める」の2項からなる法律。1979年に成立した。元号は紀元前に中国・前漢で始まり、日本では645年に「大化」の元号を初めて使用した。天皇一代に元号一つと定める一世一元制は明治時代から始まり、旧皇室典範と旧登極令に元号の規定が記されていた。しかし敗戦による連合国軍総司令部(GHQ)の占領下で失効。現在の皇室典範元号について規定がないため、保守勢力が働きかけて元号法が制定され、「昭和」から「平成」への改元で適用された。