第二原発廃炉強く要求 4度目意見書県議会が可決 東電、判断言及せず - 福島民報(2016年12月22日)

http://www.minpo.jp/news/detail/2016122237485
http://megalodon.jp/2016-1223-1354-09/www.minpo.jp/news/detail/2016122237485

12月定例県議会は21日、最終本会議を開き、東京電力福島第二原発の全基廃炉を強く求める意見書を全会一致で可決した。全基廃炉を迫る意見書の可決は4度目。近く安倍晋三首相や関係閣僚、衆参両院議長らに送付する。一方、東電幹部は同日、第二原発福島第一原発廃炉作業を進める上で後方支援機能を担っていると強調。早期廃炉を求める県民の声と事業者判断との乖離(かいり)が改めて浮き彫りとなった。
最終本会議の終了後、杉山純一議長と満山喜一副議長は東電の林孝之執行役員福島復興本社副代表を県庁に呼び、第二原発の方向性をただした。
杉山議長は、福島復興本社の石崎芳行代表がインタビューで第二原発廃炉について「第一原発廃炉の後方支援という役割がある。判断できない状況だ」との認識を示した点について、「廃炉を検討していないかのよう感じられ大変遺憾だ。全基廃炉は県民の願い。しっかり取り組んでほしい」と要求した。
終了後、林副代表は記者団に「意見書は県民の総意と受け止めている」とする一方、「これまでのスタンスと変わらず、第一原発廃炉作業を着実に進めるのが復興の大前提。石崎も私も後方支援のため第二原発が不可欠だと考えている」と明言した。廃炉の是非については「事業者として判断する時期はくると思う」としたが、具体的な判断時期は「まだそこまで(検討が)至っていない」と言及を避けた。
東電の見解に県議会の各会派からは「第二原発廃炉と第一原発廃炉作業の後方支援は別問題」「第二原発廃炉を決めてからでも後方支援はできる」など非難の声が上がった。
意見書は自民党民進党・県民連合、共産党公明党、ふくしま未来ネットの全5会派が連名で最終本会議に提出した。国に再三求めてきた県内全基廃炉の見通しが立たず、繰り返されるトラブルで風評払拭(ふっしょく)や住民帰還など復興の妨げになっていると指摘。第二原発廃炉判断を電気事業者任せにせず国の責任で早期に実現するよう訴えた。
県議会は平成23年9月定例会で県内の全原発廃炉を求める請願を採択し、廃炉は県民の総意であると明確にした。25年2月定例会、同年9月定例会、27年9月定例会で全基廃炉を求める意見書を可決し国に提出したが、現在も国と東電は第二原発の存廃判断を明確にしていない。