辺野古訴訟、県の敗訴が確定 知事は別の権限で阻止へ - 東京新聞(2016年12月21日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201612/CK2016122102000128.html
http://megalodon.jp/2016-1221-0958-40/www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201612/CK2016122102000128.html

米軍普天間(ふてんま)飛行場(沖縄県宜野湾(ぎのわん)市)の名護市辺野古(へのこ)への移設に伴う新基地建設を巡り、沿岸部の埋め立て承認を取り消した翁長雄志(おながたけし)知事を国が訴えた訴訟の上告審判決で、最高裁第二小法廷(鬼丸かおる裁判長)は二十日、「承認取り消しは違法」として、知事側の上告を退けた。知事側全面敗訴の一審福岡高裁那覇支部の判決が確定した。政府は、中断していた建設工事を、年内にも再開する見通しだ。
この問題を巡る国と県の一連の争いで司法判断が確定したのは初めてで、裁判官四人の全員一致の結論。敗訴確定を受け、翁長知事は沖縄県庁で記者会見し、埋め立て承認取り消しの撤回に向け「速やかに手続きを進めていく」と述べた。
同時に「新基地を造らせないという公約実現に向け、全力で取り組む。あらゆる手法を用いる」と、別の知事権限を使って工事を阻止する考えを表明した。
第二小法廷は、仲井真弘多(なかいまひろかず)前知事が二〇一三年に行った辺野古沿岸の埋め立て承認の是非を中心に検討。埋め立ては、騒音被害や危険性の除去が喫緊の課題である普天間飛行場の代替施設の建設が目的で、新基地の面積は普天間と比べて縮小されることなどに触れ、「妥当性を欠くものでない」と判断した。
その上で、欠陥のない承認を職権で取り消した翁長知事の処分は違法で、是正を求めた国の指示に誤りはないとも指摘。指示から一週間で「相当の期間」が経過したとし、従わなかったことは違法だと結論付けた。
地方自治法に基づき、国と地方自治体が争う訴訟は、二審制となる。九月の一審は「普天間飛行場の危険除去には辺野古移設以外ない」「国の計画が不合理でなければ知事は尊重すべきだ」などと新基地建設の妥当性や国と地方の役割分担にも踏み込んだが、今回の判決はこうした論点には触れなかった。