辺野古基地問題 法治国の否定に等しい - 東京新聞(2018年10月31日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2018103102000164.html
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法治国の否定に等しい政府内の自作自演に失望する。沖縄県名護市辺野古への米軍新基地建設を巡り、国土交通相は県の承認撤回の効力を停止。工事再開を認めた。民意尊重の誠意こそ必要なのに。
国交相のきのうの決定は、沖縄防衛局が行政不服審査法(行審法)に基づき行った申し立てを有効とした点でまずおかしい。
行審法は、国民の権利利益の救済を目的とする。防衛局は国民、つまり私人なのか。
防衛局は、仲井真弘多元知事から民間の事業者と同じ手続きで沿岸の埋め立て承認を得たことなどを挙げ私人と同じと言うが、新基地建設は閣議決定に基づき行う。私人という強弁が通じるはずがない。
翁長雄志前知事が二〇一五年に承認の取り消しをした際にも同じ論理で申し立てが行われ、国交相が認めた。しかし、その後の改正行審法施行で、私人とは異なる法的地位「固有の資格」にある国の機関への処分は法の適用外になった。行政法学者らは、今回の申し立ては違法だと批判する。
効力停止は、防衛局が同時に行った撤回取り消しの訴え(審査請求)の結論が出るまでの緊急避難ともいうが、これも無理がある。
防衛局は、工事中断で現場の維持管理に一日二千万円かかっているほか、米軍普天間飛行場の返還が進まず日米間の信頼も失うと強調し、国交相も追認した。
だが、前回の承認取り消し時に防衛省は即刻対抗措置を講じたのに、今回は撤回から申し立てまで一カ月半かかった。県知事選への影響を避けようとしたためで緊急性の主張は説得力を欠く。
承認撤回は、知事選などで何度も示された辺野古反対の民意を無視して工事が強行された結果だ。普天間の危険性除去や日米同盟の信頼性維持も責任は国側にある。
却下が相当にもかかわらず、国交相は早期の工事再開を図る国のシナリオ通りに判断した。公平性も何もない、制度の乱用である。
沖縄では二十六日、埋め立ての賛否を問う県民投票条例が成立し来春までに実施される見込みだ。防衛局は今後、埋め立ての土砂投入に踏み切り、基地建設は後戻りできないとの印象を広めるつもりだろうが、県との対立は決定的となる。
政府にはその前にもう一度、県側との話し合いを望む。
法治主義を軽んじてまで基地建設に突き進み、何が得られるのか。日米同盟のために沖縄の民意を踏みにじっていいはずがない。