少年法適用年齢引き下げ、賛否併記 現行法「再非行防止に機能」 18、19歳は「相応の判断力」 法務省勉強会 - 産経新聞(2016年12月20日)

http://www.sankei.com/affairs/news/161220/afr1612200030-n1.html
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少年法の適用対象年齢などについて検討する法務省の勉強会の報告書が20日、公開された。現行法(20歳未満)を維持する観点からは「再非行の防止などに機能している」などの意見があり、18歳未満に引き下げるべきだとの立場からは「18、19歳には相応の判断力がある」などの意見が示された。法務省は、年齢に関して早ければ来年中にも法制審議会(法相の諮問機関)に諮問する。
勉強会は大学教授や福祉関係者らで構成。平成27年11月から専門家ら40人から意見を聴取した。少年法をめぐっては、これまでも重大事件が起こるたびに対象年齢の引き下げなどを求める声が上がっていた。
報告書によると、まず現行法の20歳未満を維持すべきとの意見として、(1)公選法民法成人年齢と連動させる必要はない(2)現行法は再非行の防止、立ち直りを図る上で機能している−などの理由が挙げられた。
更生保護施設勤務者からは、「最近の若者は幼く、意思の疎通が困難」「22歳くらいにならないと、今後の生活などについて考えることができない」といった声もあった。
一方、18歳未満に引き下げるべきだとする意見には、(1)民法成人年齢が18歳に引き下げられた場合、成年者を保護処分の対象とするのは過剰な介入(2)選挙権年齢はすでに引き下げられ、18、19歳には相応の判断力があると評価できる−などがあった。
引き下げた場合の処遇制度案も検討され、(1)作業の義務の有無に違いがある懲役刑と禁錮刑を一本化して受刑者の特性に合った処遇を実施する(2)施設外の機関と連携して住居の確保や就労を支援する−などが挙がった。
民法成人年齢については法制審議会が「18歳引き下げが適当」との答申を出し、来年の通常国会への改正法案提出を目指して準備が進められている。

少年法 20歳未満の「少年」の刑事事件について特別の措置を講じて、成人とは違う扱いをすることを定める。成人が罪を犯した場合は「刑罰」の対象だが、少年の場合は原則として「保護処分」など更生に重きを置いた処分となる。家庭裁判所の判断で検察に逆送し、刑事裁判にかけることもある。その場合でも、犯行時18歳未満だった場合は死刑を科すことはできないなどの規定がある。