COP22 パリ協定実行へルール作りの議論開始 - NHK(2016年11月8日)

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20161108/k10010759411000.html
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地球温暖化対策を話し合う国連の会議、COP22が北アフリカのモロッコで日本時間の7日夜開幕し、今月4日に発効したパリ協定の実行に必要なルール作りの議論が始まりました。
COP22は、モロッコマラケシュに世界190を超える国と地域の代表が集まり、日本時間の7日午後7時すぎに開幕し、今回の議長を務めるモロッコのメズアール外務大臣が「パリ協定が早期に発効したこの動きを止めることなく、実行に移していかなければならない」と述べました。

その後、今月4日に発効したパリ協定の実行に必要なルール作りについて話し合う作業部会が始まりました。
各国からはルール作りを早期に進めようという前向きな発言が相次いだ一方、中国やイランなどで作るグループからは、これまで温室効果ガスを排出してきた先進国と発展途上国の間には温暖化対策の責任に違いがあり、ルールを作る際にはそれを踏まえるべきだという意見が出されていました。
COP22は今月18日まで開かれ、各国の削減目標をどのように評価して検証するかや途上国に対する資金支援の在り方などについて議論が交わされる予定です。

協定の締結が遅れている日本は、期間中に開かれる締約国の会合には決定に異議の申し立てができない「オブザーバー」としての参加にとどまり、交渉力の低下が懸念されています。
日本政府団の主席交渉官を務める外務省の牛尾滋参事官は「自信を持って会議に臨めないというところはあるが交渉力には影響はない」としたうえで、「各国の取り組みがしっかり行われているかを検証できるように透明性の議論などに力を入れたい」と述べました。
また、COP22のメズアール議長は「日本はこれまでも温暖化対策において資金や技術面で貢献してきた。この会議でもとても重要な役割を果たすだろう」と述べました。
米大統領選挙の行方に注目
COP22ではアメリカの大統領選挙の行方に注目が集まっていて、参加者からは温暖化対策に否定的なトランプ候補が当選することへの懸念の声が相次ぎました。

COP22は日本時間の7日夜、モロッコで開幕しましたが、各国の交渉官などの間では日本時間の8日夜、投票が始まるアメリカの大統領選挙の行方に注目が集まっています。
トランプ候補が地球温暖化は「でっち上げだ」として、今月4日に発効した温暖化対策の新たな国際的な枠組み「パリ協定」からの脱退の意向を示しているからです。

アフリカのレソトの代表団の男性は「選挙の結果は世界の今後の対策に影響する」と述べたほか、議長国モロッコの代表団の男性は「トランプ候補が当選すれば対策に向けて前進してきた世界の取り組みを阻む壁になる」と話しました。
また、アメリカのNGOの男性は「温暖化の現状そのものを否定するトランプ候補が当選するかどうかで、未来は変わると思う。結果によるが、恐ろしい事態に直面している」と懸念を示しました。

パリ協定はすでに発効しているため、仮にトランプ候補が次の大統領に就任した場合でも、アメリカはすぐには脱退できず、3年後の2019年11月までは脱退を通告することができません。

ロッコのハキマ・エル・ハイテ環境相は「もしトランプ候補が優秀なビジネスマンなのであれば、温暖化対策の重要性をいずれはわかるだろう。世界がこの20年、何のために取り組んできたのかをしっかり理解してもらいたい」と述べ、トランプ候補が当選した場合を想定して、早くもくぎをさしていました。

関連サイト)
パリ協定が4日に発効した後に開かれる11月にモロッコマラケシュで開かれるCOP22(7日〜18日)を前に特集したドキュメンタリー