「中国残留婦人」一人芝居20年 引き揚げ体験・神田さん 調布で26日上演:東京 - 東京新聞(2016年10月15日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/tokyo/list/201610/CK2016101502000111.html
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満州中国東北部)からの引き揚げを体験した調布市の神田さち子さん(72)が、戦後の中国残留婦人の人生を演じる一人芝居「帰ってきたおばあさん」が二十六日、同市で上演される。初演から二十年を記念し、戦争を体験した女性ら十人でつくる実行委員会が主催。神田さんは「薄れる戦争の記憶を、若い世代へとつないでいきたい」と意気込んでいる。
帰ってきたおばあさんは、神田さんが一九九六年から続けるライフワークの芝居。残留婦人との面会をきっかけに、複数の残留婦人の実話を基にした小説を脚本化した。日中で公演を重ね、今回で百九十一回目を迎える。
芝居は、開拓民として満州に渡った女性が主人公。日本敗戦後の混乱の中、わが子に手をかけて生き延び、中国人との再婚で幸せをつかんだのもつかの間、文化大革命で日本人として迫害を受ける苦難の人生を演じる。
実行委員の女性は調布と府中市在住で、空襲体験者や被爆二世ら。六歳で満州から引き揚げた片山和代さん(73)は、日本に帰る途中に一歳の妹が船の流行病にかかり、帰国後に亡くなった。「戦争がなければ救われた命だ」と憤る。
同じく満州からの引き揚げ者で漫画家のちばてつやさんも「あの時代を生きた者として、心からありがとうと言いたい。これからも演じ、伝え続けてください」と神田さんに平和を願うメッセージを寄せている。神田さんは「戦争で犠牲になるのはいつも弱い庶民。風化や無関心にあらがい、戦争の真実を伝えていく」と話す。
公演は二十六日午後六時半から、市文化会館たづくりで。当日券三千五百円(高校生以下千円)。問い合わせは実行委の四家さん=電090(4133)7221=へ。 (安藤恭子