“改革派”自任の小池百合子氏 豊洲で移転問題に一切触れず - 日刊ゲンダイ(2016年7月19日)


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自民党都連のドンを敵に回し、都議会と対決ポーズ全開の小池百合子候補だが、「改革派」は本当なのか? 週末、築地市場の移転先の豊洲で小池氏が演説するというので取材に行ってみたが、築地移転の問題には一切触れずじまいだったのだ。
17日、午後6時から豊洲で街頭に立った小池氏。目と鼻の先に新市場の予定地があるのにもかかわらず、話したのは「環境大臣の時にクールビズを導入した」「熊本地震で液体ミルクを持って現地に駆け付けた」といった自慢話が中心。熊本県議が応援に来ていたとはいえ、豊洲新市場に一言も言及しないとは、あまりにお粗末じゃないか。
土壌汚染問題が払拭されていない豊洲新市場は新知事にとって懸案事項のひとつだ。小池氏は「改革派」のうえにシンボルカラーを「緑」にして「環境派」もアピールしている。それなのに、いまだ市場関係者の間でも反対の声が根強い豊洲移転を進める都や自民党都連に対し、異論を唱えていないのだ。
小池氏は出馬会見後のぶらさがり取材で、土壌汚染の情報公開が第一としながらも「なかなか(豊洲に)移らないのは、むしろ後継ぎの問題だと思います」と発言。移転強行の都や都議会を追及する姿勢は希薄だった。この日も、演説後に本人を直撃すると、「いま検討中です」。都連のドンを攻撃する演説とは打って変わって、歯切れが悪かった。
築地市場豊洲移転については、日刊ゲンダイが何度も指摘しているように土壌汚染以外にも課題山積だ。開場予定が11月7日に迫る中、仲卸業者の多くが移転反対で開場延期を訴えている。実際、「新市場は設備の重量に耐えきれず、店舗の床が抜ける」「海水が使えず、ボウフラやコバエが湧いてしまう」など設備の“欠陥”が発覚。建設費が1・5倍に増大した利権疑惑の闇もある。
もともと、築地の移転は都政与党の自公主導で進められてきた。市場関係者や都民の声に耳を傾けず、選挙中に見直しを明言しないのなら、「改革派」も「環境派」も看板倒れだ。「東京大改革」を旗印にしている小池氏だが、都知事になったら自民都連傀儡政権と化す可能性大だ。
ちなみに、自公が推す増田寛也候補は予定通り移転推進だろう。一方、「移転中断」を公約にしていた弁護士の宇都宮健児氏の政策を引き継いだ鳥越俊太郎候補は、「ゼロベースで考えていきたい」と見直しの立場だ。
(取材協力=ジャーナリスト・横田一氏)