天皇”生前退位”発信源は? 天皇側、官邸側、侃々諤々 - 世相を斬る あいば達也(2016年7月15日)

http://blog.goo.ne.jp/aibatatuya/e/1a428d0d68f8fa590a43721e3e4e417b

≪ 生前退位、実現手探り 皇室典範見直しや新法 - 日本経済新聞(2016/7/15)
 天皇陛下の「生前退位」の意向が明らかになった。実現には皇室典範の改正や新法の制定が必要で、時間がかかる見通しだ。天皇陛下自らが公式に意向を表明 されるのは、「国政に関する権能を有しない」とする憲法の規定に抵触する可能性も指摘される。国民的な議論がどこまで深まるかが焦点となる。
 「事柄の性格上、コメントは控えたい」。14日、羽田空港で記者団に問われた安倍晋三首相は言葉を選ぶようにこう語った。菅義偉官房長官も記者会 見で「私の立場で陛下のお気持ちについて申し上げるべきではない」。公明党山口那津男代表も「冷静に見極めたい」と慎重な言い回しに終始した。
  一方、自民党細田博之幹事長代行は「国会として真剣に検討する必要がある」。民進党岡田克也代表も「政府が有識者で議論する場をつくってほしい。国会 でも議論したい」と前向きだった。経済界からも「(議論は)当然必要だ」(経済同友会の小林喜光代表幹事)との声があがった。
 宮内庁は否定に躍起となった。同日午後、定例記者会見に臨んだ風岡典之長官は「お務めを行っていくなかで(陛下が)いろいろなお考えをお持ちになることはありうる」と含みを持たせながらも、「第三者が推測したり解説したりするのは適切ではない」とノーコメントを貫いた。
 皇位継承などを定めた皇室典範は、生前退位に関する規定はない。政府は、皇室典範の改正に向けた検討準備に入る方針だ。政府内では皇室典範を改正せず、今回に限って生前退位を認める新法を制定して対応する案もある。
 皇室典範の改正に向けた議論を始めると生前退位だけでなく、女性・女系天皇や女性皇族が結婚後も皇室にとどまる女性宮家の創設の是非など、過去にのぼったことのある検討課題にも波及する可能性があるからだ。  政府内では6月までに、内閣官房の総務官室の人員を増強。杉田和博副長官の下に総務省警察庁など旧内務省系の課長級10人程度を集め、皇室のあり方を検討してきた。
 天皇陛下生前退位の意向が公式に伝われば、世論の動向を踏まえ皇室典範の改正などの本格的な準備作業に入る見通しだ。内閣官房有識者会議を設置し、国民の幅広い意見を反映して具体策を検討するとみられる。
 皇室典範改正の動きは過去にもあり、いずれも政権が主導する形で行われた。  2005年1月、当時の小泉純一郎首相が女性の皇位継 承の是非などを検討する私的諮問機関「皇室典範に関する有識者会議」を発足。民主党政権時の11年には、野田佳彦首相が女性宮家の創設を検討する考えを表 明し、各分野の有識者らから意見を聴取した。政府はいずれも改正案を出す方針だったが、法案提出には至らなかった。
 今回、退位を可能にする制度改正の機運が高まれば、同じような流れで手続きが進む可能性が大きい。ただ元号の変更など国民生活への影響が大きいことや、伝統を変えることへの慎重論もある。退位した天皇の位置づけや、新しい天皇との役割分担なども課題になるとみられる。
 「有識者の選定次第で事実上、結論が決まる。そう簡単に会議を設置できないのではないか」(宮内庁関係者)。仮に有識者会議での議論が始まっても、法改正までには年単位の時間がかかるとみられる。  ≫