生前退位 特別立法で可能 法制局長官「改憲必要なし」 - 毎日新聞(2016年9月30日) 

http://mainichi.jp/articles/20161001/k00/00m/010/094000c
http://archive.is/2016.10.01-014422/http://mainichi.jp/articles/20161001/k00/00m/010/094000c

天皇陛下生前退位について、横畠裕介内閣法制局長官は30日の衆院予算委員会で、特別立法での対応は可能との見解を示した。憲法2条は皇位継承について「国会の議決した皇室典範の定めるところ」に基づき規定するとされ、厳格に解釈すれば典範改正が必要との専門家の見解もあるが、横畠氏は「2条に規定する皇室典範とは、典範の特例、特則を定める別法も含む」と述べた。
横畠氏は「一般論」と断ったうえで、2条の趣旨を「国会の議決した皇室典範、すなわち法律で適切に定めるべきだと規定している」と述べた。現在の典範は、衆参両院の過半数の議決で改正できる。一般の法律と同じ位置づけとなっており、横畠氏は「ある法律の特例や特則を別の法律で規定することは法制上可能」との見方も示した。民進党細野豪志氏の質問に答えた。
典範改正で退位を可能にする場合、将来の天皇にも適用される永続的な制度改正となるため、議論に時間がかかる。このため政府は、今回に限って退位を認める特別立法での対応を軸に検討している。横畠氏はまた「皇位継承は法律事項と解される。憲法を改正しなければ退位による皇位継承を認めることができないことではない」と述べ、退位に憲法改正は必要ないとの見解も示した。【野口武則】

過去の記事)
天皇生前退位 制度化は「憲法改正が必要」 - 日テレNEWS24(2016年8月22日)
http://www.news24.jp/articles/2016/08/22/04338719.html
http://archive.is/2016.08.22-103100/http://www.news24.jp/articles/2016/08/22/04338719.html

天皇陛下生前退位をめぐり、内閣法制局などが、将来にわたって生前退位を可能にするためには、「憲法改正が必要」と指摘していることが新たに分かった。
天皇陛下のお言葉について安倍首相は「重く受け止める」と表明したが、政府は憲法との整合性をいかに保つか、難題に直面している。政府関係者によると、憲法と法律との整合性をチェックする内閣法制局などは、生前退位を将来にわたって可能にするためには「憲法改正が必要」と指摘しているという。
これは憲法第1条で天皇の地位は日本国民の総意に基づくと定めていて、天皇の意思で退位することはこれに抵触するという理由。
一方、生前退位を今の天皇陛下にだけに限定するのであれば、特例法の制定で対応が可能だと説明しているという。政府は来月にも有識者会議を設置し、特例法の立法を軸に議論を進める考え。
官房長官有識者会議の設置も含めて、どのように対応していくかということを、現在考えているところであります」
一方、特例法を定める場合でも退位された後の天皇の地位など、一から制度を作り上げる必要があり、政府高官は「調整はなかなか難しい」との見通しを示している。

関連サイト)
天皇生前退位をするためには憲法改正が必要か 憲法改正が必要だという内閣法制局は地に落ちた - 弁護士 猪野 亨のブログ(2016年8月23日)
http://inotoru.blog.fc2.com/blog-entry-2293.html

国民世論は既に天皇生前退位を認めよというところで固まっています。
今上天皇生前退位を認めないわけにはいかないし、しかし、今回限りにしたいというのが安倍政権、極右勢力の思惑です。
それをそのまま踏襲したのが内閣法制局の見解です。
しかし、何故、憲法1条の文言から生前退位憲法改正が必要なのか意味不明です。
国民の総意というのは、結局のところ国会で制定される皇室典範に表されるのであって、その文言が憲法生前退位を禁じているということの根拠にはなり得ません。
戦前、大日本帝国憲法のもとでは、皇室典範憲法と対等にならぶ法規範でしたし、帝国議会によって「改正」することなどできないものでした。その意味では皇室典範がすべてでしたし、その皇室典範に「臣民」どもが口を出すなどというのは恐れ多いことでだったのです。

第74条 皇室典範ノ改正ハ帝国議会ノ議ヲ経ルヲ要セス

しかし、戦後、日本国憲法のもとでは皇室典範は他の法律と全く同じものとなり、国会での改正が可能です。
それを超えて憲法生前退位を禁止しているなどというのは詭弁も甚だしく、内閣法制局の見解は、安部政権の意向がそのまま反映されただけのものです。