中絶施設制限の州法は「違憲」 米大統領選の争点に浮上 - 東京新聞(2016年6月29日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/world/list/201606/CK2016062902000129.html
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【ニューヨーク=北島忠輔】米連邦最高裁は二十七日、人工妊娠中絶を行う医療施設の設営を制限するテキサス州の法律について、「憲法が保障する女性の選択権を侵害する」として無効とする判決を出した。信仰などを背景に、米国世論を二分するテーマは今秋の大統領選でも争点となっている。中絶支持派に軍配を上げた司法判断は全米に波紋を広げそうだ。
訴訟は、広い通路やエレベーターなど大型病院並みの設備や人員配置を義務付けた州法が、実質的に中絶施設の設営を制限し、女性の中絶選択権を侵害しているかどうかが争点だった。
判決は、州法の規定によって中絶を受けられる施設が減り、待ち時間も長くなるとデメリットを挙げ、「中絶を求める女性への過剰な負担を強いる」と指摘。同様に中絶施設を規制するアラバマルイジアナミシシッピなどの州法も無効になる公算が大きい。
米国では中絶を禁止する州が多かったが、女性の社会進出を背景に、最高裁は一九七三年の判決で中絶を「憲法で保障された権利」と認めた。
だが「中絶は神の教えに反する」と考えるキリスト教保守派が反対運動を展開。出産を勧めるカウンセリングや、予約から手術まで待機時間を設けるなどの規制を盛り込んだ州法を定める州が増え、中絶をする医師や支持団体が襲われる事件も発生するなど、論争が続いている。