(筆洗)今の世論は気味悪きオタマどころか、荒れる竜と考えた方が良いでしょう - (2016年6月16日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/hissen/CK2016061602000144.html
http://megalodon.jp/2016-0616-1009-10/www.tokyo-np.co.jp/article/column/hissen/CK2016061602000144.html

さて、お集まりの政治家の皆さん、私、世論コンサルタントのAと申します。ご心配でしょう。あの程度のことで辞職に追い込まれるとは。震え上がっていませんか。中国服はともかく、あまり胸の張れぬ政治資金の使い方をしている方もいると思います。本日は、万一に備えた心構えを無料でお教えいたします。
お手元の資料は、夏目漱石の「虞美人草」です。<数は勢(いきおい)である。勢を生む所は怖(おそろ)しい。一坪(ひとつぼ)に足らぬ腐(くさ)れた水でも御玉杓子(おたまじゃくし)のうぢようぢよ湧く所は怖しい>。今の世論は気味悪きオタマどころか、荒れる竜と考えた方が良いでしょう。
この竜は「正しくない」人間を見つけ、襲います。この場合の「正しさ」とは、法的問題に限らず、道義や倫理上の判断も含まれ、いったん「正しくない」「おかしい」と判断すれば、攻撃をやめません。
皆さんの得意な説明や言い訳も無駄。むしろ逆効果で今回も「トップが二流のホテルに泊まりますか」「不適切だが違法でもない」という政治家には至極もっともな言い訳が致命的でした。
残念ですが、あきらめてください。助かる道があるとすれば問題発覚後ただちに非を認める。謝る。そして祈ることです。
あんまりじゃないかって。社会への不満や政治とカネの問題への怒りが竜の正体だとすれば、同情はできません。なにしろ、竜を産んだのはあなた方、政治家ですから。