(筆洗)米国の政治ジョークを集めた本で、 - 東京新聞(2017年9月29日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/hissen/CK2017092902000127.html
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米国の政治ジョークを集めた本で、こんな小咄(こばなし)を読んだ。子どもが政治家の父親に、「裏切り者って何?」と尋ねた。
父の答えは、「裏切り者というのはこっちの党からあっちの党に行くやつのことだ」。子どもが「じゃあ、あっちの党からこっちの党に来る人は?」と聞くと、父は答えた。「それは、改心者っていうんだ」
つい先日、民進党の一部議員が離党し、「小池新党」に加わろうとした時、彼らは「裏切り者」扱いされた。だが、政界の秋空の何と移ろいやすいことか。民進党全体が「こっちからあっちに行く」ことになりそうだというのだから、小咄の子どもならずとも、目を白黒させるしかない。
衆院が解散されたきのう、民進党は新党「希望の党」への「合流」を打ち出した。だが、それで、どういう方向に向かう流れができるのか。政権交代可能な二大政党制を再び目指すというが、たとえば世論を二分してきた改憲や安全保障法制をめぐり、どんな流れをつくるのか。
こんな政治小咄もある。激しい選挙戦の中、ある候補者が「当選したら、まず何をしますか」と尋ねられた。候補者の答えは、「当選したら何をするかは今の私の心配事じゃない。私を今、悩ませているのはもし当選しなかったら何をするかってことです」
「合流」の向かう先をきちんと示せなければ、この候補者を笑うことはできまい。