「立憲社会」市民が考える 憲法記念日:千葉 - 東京新聞(2016年5月4日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/chiba/list/201605/CK2016050402000156.html
http://megalodon.jp/2016-0504-1223-05/www.tokyo-np.co.jp/article/chiba/list/201605/CK2016050402000156.html

安全保障関連法施行により、「立憲社会」のあり方が問われる中で迎えた憲法記念日の三日、県内各地で憲法の集いが開かれた。

松戸市 映画監督山田洋次さん、渥美清さんを思い語る
映画「男はつらいよ」シリーズなどで知られる映画監督山田洋次さんが憲法について話す講演会が三日、松戸市民会館であり、俳優渥美清さんとの交流などから憲法を語った。
「五月三日は日本人として一年のうちで大事な日」と語り始めた山田さん。男はつらいよで主役の寅(とら)さんを演じた渥美さんは、子どものころ貧しく、病気がちだったといい「権威が嫌いで、常に弱い人の立場に立った。全身で世の中の不合理に抗議してきたのが渥美さんの演技だった」と話した。
「健康で文化的な最低限度の生活を営む権利」を定めた憲法二五条は「渥美さんにとって大事な言葉だった。この憲法がある時代に生まれ育っていれば、貧困じゃなかったと彼は思ったのではないか」と代弁した。
戦後、旧満州から引き揚げてきた山田さんは、憲法九条を初めて知った当時、「軍隊を持たないとあり、非常に驚いた。『東洋のスイス』という言葉があり、どことも戦争しない国になるんだと思った」と振り返った。しかし、「今はスイスじゃない」と続け、怒りを込めた。
講演会は、「守りぬこう!憲法九条 不戦の誓い」をテーマに、七十五の市民団体でつくる実行委員会が主催。千五百人が耳を傾けた。

千葉市 「九条守ること入り口に」
千葉市では、弁護士や市民らで作る県憲法会議などが主催する「憲法記念日の集い」が、中央区の市文化センターで開かれた。
神戸女学院大の石川康宏教授が「安倍流改憲の道か、日本国憲法の道か」と題して講演。「九条を守ることを入り口に、教育や労働の問題など憲法に基づく政治を実現させよう」と訴えた。
石川教授は、学生が多額の奨学金返済を抱えていたり、非正規雇用の拡大が実質賃金の低下を招いたりしている問題を指摘。「安倍政権は、武器輸出をはじめ軍事産業への依存度を高めつつある。子どもの六人に一人が貧困で、おなかをすかせる中、戦争をするのか。税金を出しているのも、主権者も私たちだ」と強調した。
憲法は宙に浮かんだ理想論ではない。戦争放棄や、国民の教育と生活を最低限守ることを定めた内容は、先人たちの努力を一手に引き受けたものだ」と石川教授。今夏の参院選に向け、野党共闘の動きが進む中で「立憲主義を守るために、市民の力で野党を固めることが大事だ」と結んだ。
集いには延べ六百五十人が参加し、立ち見や会場の外で講演の音声だけを聴く人もいた。 (柚木まり)

柏市
柏市民文化会館では同志社大大学院教授の浜矩子さん=写真=が「アベノミクスを斬る」と題して講演し、約千三百人が来場した。 (三輪喜人)