憲法と千葉大生 「解釈改憲」限界では:千葉 - 東京新聞(2016年5月3日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/chiba/list/201605/CK2016050302000141.html
http://megalodon.jp/2016-0504-1225-26/www.tokyo-np.co.jp/article/chiba/list/201605/CK2016050302000141.html

安倍晋三首相が任期中の改憲に意欲を示し、今夏の参院選に挑もうとする中、千葉大で若者の政治参加について学ぶ学生たちは、憲法にどんな思いを抱いているのか。三日の憲法記念日を前に西千葉キャンパス(千葉市稲毛区)で聞いた。 (中山岳、柚木まり)
法経学部4年・今井隆太さん
法経学部四年の今井隆太さん(22)は、昨年九月に成立した安全保障関連法についての国会の議論を見て「解釈改憲を積み重ね、限界が出ていないか」と感じている。
憲法と安全保障の関係や、年金など社会保障は、戦後、接ぎ木するように「修正」を繰り返してきたと考える。「根本的な議論が必要なのに、テレビの国会中継を見ても、政府と野党の論戦の多くはかみ合ってない」と気にかける。
大学に通いながら、地元の商店街のマップ作りにも携わる。「商店街や地域の経済を活性化することが自分のテーマ。憲法は生活から遠く、なかなか身近に感じられない」。ただ憲法地方自治の規定などに興味があり「地元経済や政策に関わりながら、これからも考えていきたい」。
◆少しでも知りたい 法政経学部3年・松枝将司さん
政経学部三年の松枝将司さん(20)は、連休も実家(北海道旭川市)に帰省しない。憲法の研究者らでつくる全国憲法研究会が毎年五月三日に都内で開く記念講演会を聴きに行くためだ。
昨年五月、安保関連法案に反対するデモが全国で活発になる中、講演会を知り、一人で初めて訪れた。
憲法について漠然としか考えたことがなかった。少しでも知っておくべきだと思ったから」。作家の保阪正康さんが「(他国を武力で守る集団的自衛権の行使を認める)政府の勝手な憲法解釈は、戦争経験者らに対して失礼だ」と話したことが印象的だった。
一方、米国との安保関係について「米国民にとっては、他国の日本を何で助けるのかと思うだろう」と考える。「日本が守ってもらうためには、憲法を変える必要があるとも思う。でも、憲法を知らないままでは、解釈改憲に何の危機感も抱けない」
参院選で初めて一票を投じる。その前に、今年の五月三日を地元の同級生とともに「憲法を知る日」にしたいと思っている。
◆議論深めてほしい 法政経学部3年・鈴木万葉さん
「政治は人の生活を守る希望だと思う。でも今の政治家は、本当に国民のことを考えているのかな」。法政経学部三年の鈴木万葉(まよ)さん(21)は、疑問が消えない。
国会で二〇一三年に特定秘密保護法、昨年に安全保障関連法が相次いで成立した経緯を見て、多くの国民の理解を得ずに決まったように感じた。「政治家たちに、選挙で勝って民意を得たから文句を言うなというムードがあるのでは」
憲法も、そうした雰囲気で改正に向かう不安がある。「そもそも国家権力を縛るもので、国と私たちの約束のはず」と話す。
憲法を神聖で腫れ物にさわるように扱う雰囲気にも共感できない。例えば、国民の生存権を保障する第二五条を挙げ「九条のほかにも、国の根幹に関わる部分が多くある。改正に賛成か反対か問う前に、もっと議論を深めてほしい」。