改憲派・護憲派 それぞれ訴える 憲法記念日に前橋、高崎で集会:群馬 - 東京新聞(2018年5月4日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/gunma/list/201805/CK2018050402000164.html
https://megalodon.jp/2018-0504-1013-13/www.tokyo-np.co.jp/article/gunma/list/201805/CK2018050402000164.html

宝田明さん 生々しい戦争体験
憲法記念日の三日、県内でも護憲派改憲派がそれぞれ集会を開いた。護憲派の集会では過酷な戦争体験から改憲反対と平和の大切さが訴えられた。また、安倍晋三首相(自民党総裁)の(戦力不保持と国の交戦権の否定を規定した)九条二項を残して自衛隊を明記する改憲手法を批判した。一方、改憲派の集会では九条に自衛隊を加える形での改憲を「現実的」として進めるよう求める声が上がった。
高崎市の群馬音楽センターでは、県内の九条の会や労組などでつくる実行委員会が主催した「第34回憲法記念日集会」が開かれた。俳優の宝田明さんが自身の生々しい戦争体験を語り、平和と護憲を訴えた。
宝田さんは旧満州中国東北部)のハルビン出身。終戦後はソ連軍が侵攻してきて、ソ連兵が女性に暴行したり略奪行為をしたりするのを見たという。
見張りのソ連兵に右腹を撃たれたことも。二、三日たつと化膿(かのう)してきたが、病院が接収されていたため麻酔なしで焼いた裁ちばさみを使って弾を摘出された。
「今でも梅雨時になると痛みを感じる。私はロシアという国を許せない。全体を否定してしまう」と心境を明かし「戦争というものは憎しみしか残らない。集団的自衛権を容認したり憲法改正をしようとしたりする動きがあるが、私は怒っている」と語った。
ジャーナリストで九条の会世話人伊藤千尋さんも講演。スペイン領カナリア諸島やトルコに平和を考える目的で日本の憲法九条の碑が建てられていることを紹介し「日本では九条をなくそうという動きがあるが、世界では広がっている」と強調した。  (原田晋也)

      ◇

護憲派の市民や団体でつくる5・3憲法記念日行動県実行委員会は、前橋市の群馬会館で「市民の集い」を開き、憲法九条改正反対や、改憲を目指す安倍政権の退陣などを訴えた。
憲法学者日本体育大学の清水雅彦教授が「とめよう!安倍9条改憲と『戦争する国』づくり」と題し、自民党改憲案の問題点などを講演。清水さんは「憲法九条二項を残しつつ自衛隊を明文化する九条改憲案は巧妙。自衛隊の活動に歯止めがなくなる」と指摘。「憲法前文と九条の平和主義は人類の戦争違法化の歩みの中で最先端のもの」と評価し、「市民と労組、野党の共闘で守っていかなければならない」と語った。
講演に先立ち、米軍の沖縄・普天間飛行場へのオスプレイ強行配備や北部訓練場ヘリコプター離着陸帯(ヘリパッド)整備に反対する住民らの活動などを記録したドキュメンタリー映画「This is a オスプレイ」を上映。オスプレイ配備の問題点や群馬上空でも訓練飛行が懸念される現状などを紹介した。最後に「安倍政権による憲法破壊を許さず、平和憲法を守り生かして命と暮らしが大切にされる平和な社会を取り戻す」とのアピールを採択した。 
 (石井宏昌)