原発事故で海外避難した元NHKフランス人スタッフ、契約解除無効の判決 - 弁護士ドットコム(2015年11月16日)

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NHKの業務委託スタッフとしてアナウンサー業務などをしていたフランス人女性が、2011年3月の福島第1原発事故の直後に海外避難した際、契約を解除されたのは不当だとして、委託料の支払いなどを求めていた裁判で、東京地裁は11月16日、NHKに対して約514万円を支払うよう命じる判決を下した。NHKは「判決文をよく読んで、今後の対応を検討する」とコメントしている。
原発事故直後、海外に避難した
原告は、フランス国籍のエマニュエル・ボダンさん(58)。NHKで20年以上にわたって、フランス語の海外向けラジオ放送のニュース原稿の翻訳とアナウンサー業務を担当していたが、2011年3月の福島第1原発の事故を受けて、3月15日にシンガポールに避難した。そのすぐ後、フランスに帰国したところ、NHKから契約解除を通知された。
ボダンさん側は「実質的に労働契約上の地位があった」と主張したが、東京地裁の吉田徹裁判長は、「業務委託契約と解するのが相当」として、認めなかった。一方で、(1)ボダンさんが他の人に代役を依頼したうえで、NHK側に「避難すること」を伝えて、承諾を受けていたことを認定した。
また、(2)当時、駐日フランス大使館が退避勧告をしていたことなどから、業務より生命・身体の安全等を優先して国外へ避難したとしても、そのこと自体は強く責められるものではなかった、(3)他のフランス語スタッフ6人も同様に避難したが、原告だけが契約を解除されたのは不均衡であるなどとして、契約解除は無効であると判断した。
ボダンさんはNHKとの間で毎年4月ごろに「業務委託契約」を結んでいたことから、今回は2011年3月15日から31日までの契約について、NHK側の解除が無効とされた。さらに、ボダンさんが翌年度の契約を更新する合理的な期待が一方的に奪われたとして、2011年度分の報酬にあたる金額の損害賠償も命じられた。
●「今日ようやく名誉が回復された」
判決後、東京・霞が関の司法記者クラブで記者会見を開いたボダンさんは「今日ようやく名誉が回復されたと感じています。私の訴えを認めた法廷に感謝します。日本の司法制度は、人への敬意を重んじる国であることを証明してくれたと思います」と喜びを語った。
そのうえで、ボダンさんは「ダビデが巨人ゴリアテを倒したのです。どんなに強大な組織であっても、職員を大事にすることは企業の責任であること、個人に保障されている適正手続を否定する権利はないと思い出させてくれました」と話していた。