「軍都」の記憶 宇都宮・戦後70年(3) 二荒山神社脇の防空壕跡 絵本作家の大門高子さん(69):栃木-東京新聞(2015年3月26日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/tochigi/20150326/CK2015032602000162.html
http://megalodon.jp/2015-0326-1050-21/www.tokyo-np.co.jp/article/tochigi/20150326/CK2015032602000162.html


一九四五年七月十二日午後十一時すぎ。二荒山の近くに住んでいた家族は必死で逃げていた。自宅から二百メートルの防空壕へ、母親が兄の手を引いて走った。途中、衣服に火が付き、泣き叫ぶ人たちがいた。生まれたばかりの大門さんは毛布にくるまれ、母の腕の中にいた。
防空壕にたどり着くと、母親が抱えていたはずの赤ちゃんがいない。逃げるのに夢中で、途中で落としてしまったことに気づかなかった。取り乱して自宅へ戻る。二十分ほどで見つけ、大門さんは奇跡的に助かった。そう何度も兄から聞いてきた。