絵がいじめから救ってくれた 宇都宮の18歳に広がる共感の輪:栃木 - 東京新聞(2015年8月31日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/tochigi/20150831/CK2015083102000156.html
http://megalodon.jp/2015-0831-1025-41/www.tokyo-np.co.jp/article/tochigi/20150831/CK2015083102000156.html

森山さんは中学時代、同級生から教室の黒板に悪口を執拗(しつよう)に書かれたり、暴力をふるわれたりするようになった。現場を見ていたはずの先生も手を差し伸べてくれなかった。母親にさえ悩みを打ち明けられず、ストレスで円形脱毛症に。必死に通学を続けたが、中学三年の修学旅行での壮絶ないじめがきっかけで、自宅に閉じこもるようになった。
母親の純子さん(54)は「そんなに嫌なら無理に学校に行かなくていい」と声を掛け、森山さんの話を粘り強く聞いた。自宅で少しずつ好きな絵を描くようになった森山さんは、純子さんと一緒に公募展に出品するなどし明るさを取り戻した。
すると、各地のギャラリーから「うちに作品を出してみないか」という声が寄せられるように。広く作品を見てもらいたいとの思いが強まり、昨年、大好きな「森」「山」「馬」の字を入れた、海外の人でも発音しやすいペンネームにした。
企画展には「私は不登校だけど、将来は絵の仕事をしたい」と話す少女や、「三十代の息子が引きこもりになり、社会復帰できていない」と涙ぐむ母親など、葛藤を抱えた人々が訪れる。そのたび、相手の話にじっくりと耳を傾けてきた。
森山さんは、自宅に閉じこもっていたころに描いた「真っ暗な時間」という作品を指した。「当時は死を考えたし、暗い絵しか描けなかった。でも、たとえ死を選んでも、いじめっ子は平気で生きていくんですよね」。そして、色鮮やかな作品群を見て、こうほほ笑んだ。
「大好きなことを続けていかないと人生がもったいない。私の作品を見て、そう思ってもらえたらうれしいです」

森山 馬好 夢のアート展
会期 7月11日(土)〜9月28日(月)A館企画展示室
休館日 7月14日(火)・9月1日(火)・8日(火)・15日(火)