自衛隊は軍隊じゃないという意味-Matimulog(2015年3月26日)

http://matimura.cocolog-nifty.com/matimulog/2015/03/politique-0700.html

安部首相が自衛隊を「我が軍」と呼び、これに文句がつくと菅官房長官が擁護するという一連の流れが話題になっている。

「わが軍」答弁、問題ない 野党批判に官房長官 - 47NEWS(2015年3月25日)

http://www.47news.jp/CN/201503/CN2015032501001026.html
http://megalodon.jp/2015-0326-1230-14/www.47news.jp/CN/201503/CN2015032501001026.html

もちろん、軍隊じゃないということの機能を知りながら敢えて現実には軍隊だと言ってみせるのは別だ。
政治的に軍備拡張、軍事的圧力で国際紛争の解決をできるようにする、憲法9条をなくそう、そういう選択をしている人が「自衛隊は軍隊にほかならない」と発言するのはよく分かる。これはナイーブじゃない。確信犯とでもいうのか。こちらが下心だ。

なお、このように言うことは、別に自衛隊が現実に軍隊なのかどうかを議論したいというわけではない。むしろその種の議論は不毛だ。そうではなくて、自衛隊は軍隊とは違うんだという建前の下で、だから軍拡はしないし、対外戦争に積極的にもならないという政策の方向性を維持すべきだということだ。

このことは、少なくとも旧軍とは同じじゃない、連続性もない、旧関東軍のようなことができる態勢も意識もない、だから軍隊とは呼ばないという歴史に根ざした政治的意思が凝縮されている
自衛隊を軍隊と認めることは、このような歴史認識を薄れさせるという点で有害で、逆に覆すことを狙っているかもしれない。
このことを指摘することは、自衛隊が軍隊じゃないと主張することとは違うのだが、この点がなかなか理解されないようだ。

旧軍との関係を度外視しても、アメリカや中国、あるいはロシア、NATO、下は北朝鮮に至るまで、軍事力で他国との紛争に自国の意図を押し通そうとすることが行われている。
自衛隊はそのような道具としては使わないし、使えない限度での存在に留めるというのが、自衛隊は軍隊ではないという建前の現在意味するところなのだ。
自衛隊は軍隊だという人の意図が上記の軍事力による国際紛争手段を日本もできるようにしたいというところにあることを指摘し、それは憲法上の禁止事項だと指摘しなければならない。