集団的自衛権で関心高まる「徴兵制」 韓国の徴兵拒否青年と雨宮処凛さんに聞く(吉野太一郎さん)-ハフィントンポスト(2015年3月17日)


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日本で「徴兵制の復活」を巡る議論が続く。安倍首相や自民党は否定しているが、安倍内閣が2014年夏に、集団的自衛権憲法解釈変更を閣議決定し、与党内で法整備の議論が大詰めを迎えている。その先にある、若者が銃を取って戦うということが、現実味を帯びて語られ始めているとみられる。

アメリカ中央情報局(CIA)によれば、徴兵制があるのはイスラエルキューバ、スイス、ノルウェー北朝鮮、韓国など。多くの国では、人を殺す演習をしたくないなど「良心的兵役拒否」の代替措置として、政府機関や社会福祉施設などでの勤務を認めている。(たとえば、2011年に徴兵制を停止したドイツでは、兵役の代わりに社会福祉施設などでの奉仕活動を認めていて、実際に兵役に就く若者は2010年時点で約16%だった)

北朝鮮と軍事的に対峙する韓国では、健康な男子に原則、約2年の兵役義務がある。韓国では「良心的兵役拒否」を認めておらず、拒否すればほぼ全員に1年から1年半程度、刑務所での懲役刑を課される。収監されている人数は、2015年2月現在で636人にのぼる。

--憲法改正を目指す動きは具体化していますが、自民党憲法改正草案でも「徴兵制を採る考えはない」と解説しています。

雨宮処凛さん
おそらく、「戦争する国・日本」へは、徐々に時間をかけて変わっていくでしょう。韓国の人にも言われました。「まずは国家による身体検査で、健康な人の情報を国が管理するところから始まるだろう」と。

大学生への経済的支援のあり方を話し合う文部科学省有識者会議で、経済同友会の専務理事が、奨学金の返還に苦しむ大学卒業生を「防衛省インターンシップをさせたらどうか」と発言したことが報道されました(東京新聞2014年9月3日付)。おそらく、かなり具体的に考えた上での発言でしょう。奨学生の1割以上が滞納している時代、「経済的徴兵制」とまったく同じだな、とゾッとしました。やがて年収200万円以下や無職といった人が非難される空気が作られていくかもしれない、とも思います。

日本は「徴兵」について、70年前のイメージで語ってしまうけど、世界ではずっと続いていた問題です。日本だけが平和であっても、世界ではずっと戦争や内戦が続いていました。2003年に日本政府がイラク戦争を支持した責任について、政治も国民もメディアも忘れていると思います。そういう世の中に、集団的自衛権の解釈変更で戦争が身近になり、憲法を変えようという動きも具体的になっている。国際情勢に無関心でいられた、特殊な時代が終わろうとしています。これからは、あえて意識的に考えないといけない時期に来ているような気がします。