いま 9条守る 全国討論集会-東京新聞(2015年3月16日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2015031602000129.html
http://megalodon.jp/2015-0316-0952-14/www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2015031602000129.html

改憲派にも言葉届けよう
改憲派の人々にも、言葉を届けていこう」。こう呼び掛けたのは「九条の会尾張旭」で事務局を務める筒井洋さん(71)=愛知県尾張旭市=だ。最近、改憲に慎重な論調の新聞にも「九条を変えないと不安」といった投書が増えていることに懸念を持った。「改憲を真剣に考える人たちは『日本が危ないのではないか』と思っているが、自衛隊は今も十分、国を守る力がある。むしろ改憲してしまえば、米国の戦争に巻き込まれたり、日本から仕掛けたりすることにつながりかねない」と警鐘を鳴らす。
平和へ保守とも協力を
九条の会・葛城(かつらぎ)」事務局の岩下美佐子さん(66)=奈良県葛城市=は「私たちが手を緩めたら、戦前へ戻るのではという思いがある。反戦、平和という一点でつながることができるならば、護憲派だけではなく保守の人とも協力していくべきだ」と、党派を超えた活動の可能性を説いた。
奈良県は南北に長く、都市部が北部に偏っており、南部での活動が難しい事情があるという。県内に68団体ある九条の会はチラシづくりや、講演会を県内各地で開催できるよう協力し合っている。
◆東アジアの草の根で連帯
憲法9条つくばみらいの会」の世話人野口修さん(59)=茨城県つくばみらい市=は討論集会の壇上で「国家と国民が乖離(かいり)しているのは日本だけでない。中国も韓国も同じだ」と指摘。「東アジアの草の根で連帯し、中心に九条を据えて『東アジア平和憲章』をつくっては」と、国の枠組みを超えて九条を守る取り組みを提案した。
60歳の安倍晋三首相とは同世代で「九条は戦後最大の資産であり、皆がそれを守ってきたからこそ今がある。希望を奪わないで、という思いを彼にぶつけたい」と語った。
改憲阻止へ大きなうねり
「鴨川九条の会」の世話人代表、手塚玲子さん(71)=千葉県鴨川市=は「流れの強さにどう抗していくか。焦りにも似た気持ちで考えこんだ」と、スピードを速める改憲の動きに危機感を募らせる。阻止するため、100万人規模の集会を8月15日に開くことを目指し、動き始めた。
美しい里山が広がる地域の平和で静かな暮らしを守り続けたい、というのが会の思いだ。「10万人じゃだめ、50万人でも足りない。大きなうねりを見せることで、暴走を止めたい」と意を決する。
◆障害者こそ平和が必要
「山梨障害者・患者9条の会」代表の玉井信子さん(74)=山梨県北杜市=は、「障害者は平和でなければ生きられない」と昨年8月、県内で初の障害者らによる会をつくった。自身も脳出血で右半身が不自由に。「障害があることで、以前は見えなかったことが見えるようになり、不幸とは思わない。でも、戦争になれば真っ先に人権を踏みにじられることは、歴史を見れば分かる」と危惧する。2月の会合に22人が集まったことがうれしかった。「底辺にいる人の立場で、九条のことを考えていきたい」