言葉のセクハラ 男の“甘え”は通じない-東京新聞(2015年2月26日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2015022702000160.html
http://megalodon.jp/2015-0227-0922-42/www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2015022702000160.html

一審は「処分は妥当」としたものの、二審は「処分は重すぎ、無効だ」と正反対の判断をした。女性が明確に拒否の姿勢を示していない点や、セクハラに対する具体的な処分方針を認識する機会がなかった点を考慮したためだ。

だが、最高裁はそうした二審の見方をとらなかった。職場がセクハラ防止を重要課題と位置付け、セクハラ禁止文書をつくり全従業員に周知するなどの取り組みをしていたからだ。二人の男性も研修を受けていた。男性はむしろ管理職としてセクハラ防止を指導すべき立場にあったといえよう。

最高裁は「職責や立場に照らし、著しく不適切」「反復継続的に行ったセクハラ行為が企業秩序や職場規律に及ぼした有害な影響は看過しがたい」などと厳しい言葉を並べて指摘した。

一九八六年に施行された男女雇用機会均等法は、企業にセクハラ対応を義務付けている。しかし、議会でのセクハラやじに象徴されるように、社会の意識は十分に高まったとはまだ言えない。

全国の労働局に二〇一三年度に寄せられたセクハラ相談は約六千二百件にのぼる。この数字も氷山の一角にすぎないだろう。

下品な言辞で困惑させたり侮辱するのは、個人を傷つけるだけでない。就業意欲も職場環境も壊してしまう。企業ブランドにさえ傷がつきかねない。働く場の指針も厳しく見直す時代といえる。