(政界地獄耳)スポーツも政治も誇れぬ高潔性 - 日刊スポーツ(2018年6月2日)

https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/201806020000238.html
http://archive.today/2018.06.02-012449/https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/201806020000238.html

★日大アメリカンフットボール部の悪質タックル問題は示談という形で選手間の問題は終結したが、これからは日大経営陣の問題と、大学スポーツを筆頭とする学校スポーツの改革を進めなくてはならない。日大アメフト部前監督・内田正人が同大の常務理事を辞任した。アメフト関東学連も既に内田を除名処分にしており、日大問題は幕引きとは言えないものの、一定の区切りを迎えた。
★だが大学やそれに連なる高校などの体育会系の体罰パワハラ、しごきはスポーツマンにとって、1つの通過儀礼のようにとらえられ、それに耐え抜き、勝者になることが美徳のように扱われる風潮はないだろうか。日大のしごき報道を見て、日本中が「けしからん」という声を上げた。だが、戦前・戦中の軍事教練の延長のようなしごきに耐え、礼節をわきまえ、へこたれない体育会系の学生たちの就職で、企業などの評判はすこぶるいい。体育会系の学生を率先して採用したがる企業もある。これも伝統という名の間違った成功例を受け、成功体験を踏襲するものだ。
★建学の精神と伝統の名のもとに、スポーツを利用して学内ピラミッドを作り上げてきたものを、1度リセットしろといったところで、日本中の大学体育会は言うことを聞かないだろう。スポーツ庁自民党は大学のスポーツクラブ間の連絡調整、管理などさまざまな運営支援などを行う日本版NCAA(全米大学体育協会)の設立を目指す。だがこの計画も、事実上頓挫している。体育として指導してきた体育会系から、スポーツに脱皮するための指導者が、いまだに各競技に根付いておらず、人材不足が学生スポーツ界を覆っているからだ。
★これでは、学生スポーツの裁定を行うNCAAは生まれない。日本の学生スポーツ界は国際大会でのメダルなどの評価とは裏腹に、いまだ指導者のインテグリティ(高潔性)に関しては、誇れるものばかりではない。この意識改革の前に、もう1つ立ちはだかるのは政治の高潔性だろう。先は長い。(K)※敬称略

メディアはなぜ自民党の世論調査結果を公表しないのか - 天木直人のブログ(2018年6月1日)

http://kenpo9.com/archives/3832


自民党世論調査によれば、3月に39・4%あった内閣支持率が4月には22・3%、5月には、なんと20・6%まで低下している。

今日発売の週刊フライデー6月15日号に、安倍夫妻が最近夫婦喧嘩したと書かれていた。
その原因がふるっている。
森友疑惑の元凶と糾弾される事に耐えきれなくなった昭恵夫人が「私、国会に出ます」と涙ながらに申し出たところ、「この期に及んで何をいうのか」と安倍首相が激怒したというのだ。
もしこれが本当なら、やはり安倍首相の命運は昭恵夫人が握っているということだ。
野党は昭恵夫人の国会への証人喚問一点に絞って安倍首相に迫るだけでいい。
そうすれば安倍首相は辞めることになる。
しかし、私が週刊フライデーの記事でもっと注目したのは、自民党が独自で行ったという世論調査の結果だ。
週刊フライデー(講談社)が独自で入手したとされるその世論調査によれば、3月に39・4%あった内閣支持率が4月には22・3%、5月には、なんと20・6%まで低下しているというのだ。
我々が大手メディアの世論調査で信じ込まされてきた「内閣支持率の下げどまり」は真っ赤のウソだということだ。
もしこの数字を大手メディアが一斉に報じたら、たちどころに「安倍内閣3選確実」から、「安倍内閣退陣必至」に流れが変わる。
9月を待たずに安倍政権が終る。
なぜ大手メディアはこの自民党独自の世論調査結果を報じないのだろう。
週刊フライデーが入手したぐらいだから大手メディアが入手できないはずがない。
たとえ大手メディアが独自で入手できなくても、週刊フライデーが報じたのだから、それを確認することはできる。
もし、明日以降の大手メディアが、どこも、この自民党が独自に実施したとされるこの世論調査の結果を報じないなら、間違いなく大手メディアは安倍御用メディアだ。
自民党の独自世論調査を国民に公表せよ!
これが、「打倒安倍政権」の合言葉にならなければいけない(了)

「賃金 項目別に精査を」非正規格差で最高裁 手当不支給 一部違法 - 東京新聞(2018年6月2日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201806/CK2018060202000118.html
https://megalodon.jp/2018-0602-0943-19/www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201806/CK2018060202000118.html


契約社員や定年後に再雇用された社員が、正社員の賃金との差額を支払うよう勤務先の会社に求めた二件の訴訟の上告審判決が一日、最高裁第二小法廷であった。山本庸幸裁判長は、正社員と非正規労働者の不合理な待遇格差を禁じる労働契約法二〇条について「職務内容などの違いに応じた均衡の取れた処遇を求める規定」と指摘。その上で、不合理かどうかは「賃金総額の比較のみでなく、賃金項目の趣旨を個別に考慮すべきだ」との初判断を示した。
最高裁は、格差の判断にあたって、各種手当など個別の項目に加え、定年後の再雇用という点も考慮すべきだとした。
政府が今国会での成立を目指す「働き方改革関連法案」の柱の一つとなっている「同一労働同一賃金」の議論や企業の対応に影響を与える可能性がある。
上告審では、手当の格差と、定年後の再雇用による賃金引き下げについて、どのような場合が「不合理な格差」に当たるかが争点となった。第二小法廷は、手当など賃金項目を個別に検討し、一部手当の格差の不合理性を認めた。原告が求めていた正社員としての地位は認めなかった。
二件の訴訟は、物流会社「ハマキョウレックス」(浜松市)と、運送会社「長沢運輸」(横浜市)のトラック運転手が起こした。
契約社員が起こしたハマキョウレックス訴訟で、第二小法廷は「通勤手当」について、正規・非正規間で通勤費用が変わらず、「給食手当」は勤務時間中に食事を取る労働者に支給されるものとして、「無事故手当」「作業手当」を加えた四件について、同社に支払いを命じた二審大阪高裁判決を支持。二審で認められなかった「皆勤手当」について、不支給は不合理な格差に当たるとして、審理を大阪高裁に差し戻した。「住宅手当」は正社員には転勤が予定されていることから、不支給を認めた。
再雇用による賃金引き下げが争点の長沢運輸訴訟では、第二小法廷は「定年後の再雇用という事情も考慮される」と指摘。定年制は賃金コストを一定限度に抑制する制度とした上で、退職までは正社員として賃金を支給され、年金支給の予定もあることを踏まえ、能率給、住宅手当、賞与などの不支給は不合理ではないとした。一方で「精勤手当」と「超勤手当」については不合理性を認め、一部審理を東京高裁に差し戻した。

<ハマキョウレックスの話> 判決の内容を真摯(しんし)に受け止める。今後の対応は、判決の内容を精査して対応したい。

<長沢運輸の話> 精勤手当以外は会社の主張が全面的に認められたと受け止めている。精勤手当の不支給を違法とされた部分については内容を精査して、差し戻し審での対応を検討する。

      ◇

<労働契約法20条> 正社員と非正規労働者で労働条件に不合理な差を設けることを禁止するルール。旧民主党政権下で改正され、2013年に施行された。労働条件の差が(1)業務内容や責任の程度(2)職務内容や配置変更の範囲(3)その他の事情−を考慮して不合理であってはならないと規定している。

<高齢者の継続雇用> 少子高齢化に伴い、60歳を超えて働く人は増えている。2013年4月施行の改正高年齢者雇用安定法は、希望者全員の65歳までの雇用を企業に義務付け(1)定年延長(2)定年制の廃止(3)継続雇用制度の導入−のいずれかの実施を求めた。厚生労働省によると、企業の約8割が継続雇用制度を取り入れ、契約社員として再雇用するなどしている。大幅に賃下げされた人には「高年齢雇用継続給付」が支給される。

非正規訴訟 最高裁判決要旨 - 東京新聞(2018年6月2日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201806/CK2018060202000142.html
https://megalodon.jp/2018-0602-0944-23/www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201806/CK2018060202000142.html


非正規労働者の待遇格差を巡り、最高裁が一日に言い渡した二件の判決要旨は次の通り。

▽ハマキョウレックスの契約社員訴訟

【地位確認請求】

労働契約法二〇条は、有期契約労働者と無期契約労働者との職務内容などの違いに応じた均衡のとれた処遇を求める規定。両者の労働条件の相違が二〇条に違反する場合でも、労働条件が同一となるものではない。ハマキョウレックスも、正社員の就業規則と、契約社員就業規則は別個独立で作成されている。契約社員が正社員と同一の権利を有する地位の確認を求める訴えは認められない。

【損害賠償請求】

二〇条によって労働条件の相違が不合理であると評価できる場合は損害賠償が認められる。
本件では、正社員のトラック運転手は広域異動や等級役職制度を通じて会社の中核人材として登用される可能性がある一方、契約社員はいずれもない。

【手当の不合理性】

転居を伴う配転がある正社員は、住宅費用が多額となり得る。住宅手当の差は不合理ではない。皆勤手当は運転手を一定数確保する必要から皆勤を奨励する趣旨であり、職務内容によって両者の間に差は生じない。契約社員に支給しないのは不合理。
二審判決が認定した通り、無事故手当、作業手当、給食手当、通勤手当の相違も不合理。


▽長沢運輸の定年後再雇用訴訟

【判断基準】

再雇用された嘱託乗務員と正社員は、職務内容と配置の変更の範囲が同じだが、賃金に関する労働条件はこれだけでは定まらない。経営判断の観点からさまざまな事情を考慮でき、労使自治に委ねられる部分も大きい。
定年制は賃金コストを一定限度に抑制する制度。正社員は定年までの長期雇用が前提だ。再雇用者は定年まで正社員の賃金を支給され、老齢厚生年金も予定されている。こうしたことは、不合理かの判断の際に考慮する点として二〇条が挙げる「その他の事情」となる。
賃金項目が複数ある場合、項目ごとに趣旨は異なる。不合理かどうかは趣旨を個別に考慮する。

【能率給・職務給】

正社員に支給される基本給、能率給、職務給は、嘱託乗務員の基本賃金、歩合給に対応している。会社は職務給がない代わりに、基本賃金額を定年時の基本給の水準以上とし、収入の安定に配慮。歩合給で労務の成果が賃金に反映されやすくなるよう工夫もしている。
正社員より合計額は少ないが、原告三人は正社員より2〜12%少ない程度。老齢厚生年金の報酬比例部分の支給開始まで二万円の調整金も支給される。総合考慮すると、労働条件の相違は不合理とは言えない。

【手当の不合理性】

精勤手当は欠かさぬ出勤を奨励する趣旨。嘱託乗務員と正社員の職務内容が同一である以上、皆勤を奨励する必要性に相違はなく、不合理だ。
住宅手当と家族手当は福利厚生や生活保障の趣旨。嘱託乗務員と違い、正社員は幅広い世代が存在し、生活費の補助に相応の理由がある。役付手当は正社員から指定された役付者に支給する。いずれも不合理ではない。
正社員の超勤手当を計算する基礎に精勤手当が含まれる。嘱託乗務員の時間外手当には含まれておらず、不合理。
賞与は多様な趣旨を含み得る。嘱託乗務員は老齢厚生年金や調整金が予定され、年収も定年前の79%程度と想定。不合理ではない。
不合理な相違について、会社は損害賠償責任を負う。

賃金格差判決 不合理な待遇差なくせ - 東京新聞(2018年6月2日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2018060202000155.html
https://megalodon.jp/2018-0602-0947-32/www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2018060202000155.html

非正規労働者と正社員との間で不合理な賃金格差があれば、是正すべきだと最高裁は示した。一方で定年後の再雇用の賃金は「現役とは別」との考えだ。同一労働同一賃金の理想に照らすべきだ。
労働契約法の二〇条では、正社員と非正規労働者の待遇の格差については(1)職務の内容(2)異動や配置変更の範囲(3)その他の事情−を考慮して「不合理と認められるものであってはならない」と規定している。
一日には最高裁で二つの訴訟の判決があった。一つはタンクローリーの運転手三人が原告である。仕事の内容は定年前と全く同じなのに、定年後は月七、八万円の職務給がカットされ、住宅手当や家族手当もカット。一方、歩合給は上がり賃金水準は定年前の75%程度になった。この定年後の賃金が不合理だと訴えていたのだ。
もう一つは、運送会社の契約社員のドライバーだ。正社員との間にさまざまな手当の格差があった。例えば通勤手当は正社員は上限五万円なのに契約社員は三千円までしか支払われなかった。この格差を不合理だと訴えていた。
最高裁の考え方は明確である。同じ仕事をしていて、同じ目的を達成するための手当ならば、正社員、非正規社員を問わず、会社は支払わねばならない−という当たり前の結論である。
「無事故手当は優良ドライバーの育成や安全輸送を目的として支給される。契約社員と正社員と職務の内容は異ならないのに手当の相違を設けるのは不合理だ」
そのように最高裁は断ずる。同じ論法で、作業手当も給食手当なども相違があれば労働契約法にいう「不合理」にあたるとする。むろん皆勤手当や超過勤務手当も区別なく支給するお金とした。
問題は定年後の再雇用者の給料だ。一審判決は「職務が同じなのに賃金格差があるのは不合理」とし原告勝訴だった。だが、最高裁は「定年制は労働者の長期雇用や年功的処遇を前提としながら、賃金コストを一定限度に抑制するための制度」だから、定年を境に賃金体系が変わるとし、原告の言い分を退けた。
ただ判決には疑問も覚える。運転手がハンドルを握る時間が同じなら、やはり「同一労働同一賃金」という物差しを当てるべきではないのか。
今や「六十五歳定年」の動きも進み始めている。その流れは止まらない。六十歳の定年後の処遇見直しも必至といえる。

「非正規」手当で最高裁判決 格差の是正へ一歩前進だ - 毎日新聞(2018年6月2日)

https://mainichi.jp/articles/20180602/ddm/005/070/030000c
http://archive.today/2018.06.02-004837/https://mainichi.jp/articles/20180602/ddm/005/070/030000c

働き方が変化し、「同一労働同一賃金」が重視されつつある社会の状況に対応した判断といえよう。
正社員と非正規社員が同じ仕事をした場合、待遇に差があるのは、労働契約法が禁じる「不合理な格差」に当たるのか。最高裁は、通勤手当などを非正規社員に支給しないのはその目的に照らし、不合理だと初めて認定した。
判決があったのは、物流会社の契約社員として働くトラック運転手が提訴した裁判だ。
1審では通勤手当、2審ではそれに加え無事故、作業、給食の3手当について「支払われないのは不合理だ」と認定されていた。
最高裁は、四つの手当に加え、皆勤手当についても、乗務員を確保する必要性から支払われており、格差は不合理だと判断した。
住宅手当については、正社員と契約社員の間に転勤の有無などの差があり、契約社員に支払わないのは「不合理ではない」とした。それでも格差を個別に精査することで、「不合理」の範囲を過去の裁判より広く認めたと評価できる。
現在、非正規社員が労働者の約4割を占める。同じように手当に格差を設けている企業に、判決は見直しを迫るものとなるだろう。同種の訴訟にも影響が予想される。
一方で、定年後に再雇用された嘱託社員のトラック運転手3人が原告の裁判では、基本給や大半の手当について、格差は「不合理ではない」とした。退職金が支給され、近く年金が支給される事情も踏まえた。
ただし、全営業日に出勤した正社員に支払われる精勤手当や、超勤手当については、やはり個別に考慮して格差は不合理だと結論づけた。
この裁判で原告らは、同じ仕事なのに年収が2〜3割減ったと訴えていた。企業側は「再雇用の賃下げは社会的に容認される」と訴え、2審はそれを認めていた。最高裁は一定の格差を認めつつも、そうした考え方にくぎを刺したと言える。
働き方改革の一環である「同一労働同一賃金」の流れの中で、不合理な待遇格差の是正は当然だ。ただし、格差是正には正社員の賃金体系の見直しとの兼ね合いもある。判決を踏まえ、将来的な雇用慣行を見据えた議論を労使で進める必要がある。

待遇格差訴訟 納得して働ける賃金に - 朝日新聞(2018年6月2日)

https://www.asahi.com/articles/DA3S13522086.html
http://archive.today/2018.06.02-003335/https://www.asahi.com/articles/DA3S13522086.html

正社員かそうでないかによって、賃金に不合理な格差を設けることは許されない。最高裁がそんな判決を言い渡した。
労働契約法に明記されていることだが、何をもって「不合理」とするか、明確に線引きするのは難しい。同じ会社の制度をめぐっても、地裁と高裁の評価が分かれるなどの混乱があるなか、最高裁が一定の判断基準を示した意義は大きい。
企業は、判決が説くところを理解し、自社の賃金体系に不備がないかを点検し、必要に応じて見直す必要がある。
浜松市の物流会社をめぐる裁判では、給食や通勤など六つの手当の支給に差があることの当否が争われた。最高裁はうち五つを不合理と判断した。
「長く働く正社員の意欲を高めるためだ」と会社側が主張していた皆勤手当についても、最高裁は有期契約の人に支給しない理由にはならないと述べた。仕事の内容や課せられた責任と関係のない格差は、原則として認められないという姿勢を明確にしたものといえる。
一方、横浜市の運送会社に定年後再雇用された人が、仕事は同じなのに各種手当が削られ、以前よりも年収が2割下がったと訴えていた裁判では、最高裁はある程度のダウンは法律に違反しないとの立場をとった。
年金の支給開始年齢の引き上げに伴い、企業は希望する労働者を65歳まで雇うことが義務づけられている。そうした事情を踏まえたものだろう。
ただし無条件で許されたわけではない。この会社では、再雇用した社員について、稼働状況に応じた歩合給を優遇したり、年金が支払われるまでの調整給を支払ったりしていた。
判決は、これらの措置が組合との団体交渉を経て決められた経緯などにも着目して、合法との結論を導きだしている。全体としてバランスがとれ、社内で適正な手続きを踏むことが大切だというメッセージを、くみ取らなければならない。
いまや非正規労働者は2千万人を超え、働く人の約4割に達する。だが賃金水準は正規の6割程度で、底上げは急務だ。
国会で審議中の働き方改革関連法案は「同一労働同一賃金」の実現を柱の一つに据える。政府は、どのような格差は許されないかを具体的に示したガイドライン案を公表している。最高裁が示した考えとも重なる部分が多いが、さらに分かりやすい内容に進化させる必要がある。
だれもが納得して働ける社会に向けて、今回の判決も参考にしながら議論を深めたい。

(余録)「泥棒も仲間内では悪党ではない」という… - 毎日新聞(2018年6月2日)

https://mainichi.jp/articles/20180602/ddm/001/070/066000c
http://archive.today/2018.06.02-005100/https://mainichi.jp/articles/20180602/ddm/001/070/066000c

「泥棒も仲間内では悪党ではない」という英語のことわざがある。日本でいう「盗人にも仁義あり」で、およそ人の集団なら仲間内の仁義礼智信なしに成り立たない。中国古代の大泥棒、盗跖(とうせき)はこう語る。
「何をするにも『道』はある。……まっ先に押し入るのは『勇』、最後にズラかるのは『義』、ことの成否を見抜くのは『知』、分け前を公平にするのは『仁』よ。これらがちゃんとできずに大泥棒になれたやつなんてまずいねえよなあ」
盗跖が孔子(こうし)の偽善性をこっぱみじんに論破したとも記す「荘子(そうし)」にある話だから、真偽のほどはうけあえない。さてこの“仁義”のしばりを解きほぐし、組織犯罪の解明に役立てようという日本版の「司法取引」が今月から始まった。
容疑者や被告が他人の犯罪の情報提供をすれば、見返りに不起訴処分や軽い求刑になるこの制度である。米国映画では自分の犯罪行為の取引も見るが、日本版は他人による贈収賄、脱税などの経済事犯、薬物・銃器犯罪が対象となる。
ちょっと話を聞いただけで頭をよぎるのは、自分の罪を逃れようと他人の罪をでっち上げる手合いが続出せぬかという心配である。冤罪(えんざい)を防ぐために虚偽供述には厳罰を科すというが、仁義も何もないエゴによる「巻き込み」が怖い。
自分の罪科を取引のコインとする制度が果たしてこの国の風土で正しく作動し、定着するのか。組織犯罪の現実をみれば試す価値はあろうが、ひとつの冤罪も出してはならない“実験”なのを肝に銘じてほしい。

もんじゅ後継 仏、高速炉計画を縮小 「緊急性低い」見解 - 東京新聞(2018年6月2日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/economics/list/201806/CK2018060202000119.html
https://megalodon.jp/2018-0602-1017-31/www.tokyo-np.co.jp/article/economics/list/201806/CK2018060202000119.html


廃炉が決まった高速増殖原型炉もんじゅ福井県)の後継機について議論する経済産業省の作業部会に一日、フランス原子力庁(CEA)の担当者が出席し、日仏で共同研究を進める高速実証炉「ASTRID(アストリッド)」の計画を大幅に縮小する方針を明らかにした。もんじゅに一兆円超の予算を投じながら、成果が出なかった日本政府は、新たな高速炉開発の柱として、アストリッドを活用する方針だったが、規模縮小で日本の計画も見直しを迫られそうだ。
政府は高速炉の実現を核燃料を再利用する「核燃料サイクル」政策に不可欠と位置付けており同政策全体が揺らぐことになる。
高速炉は、通常の原発で使い終わった核燃料から取り出したプルトニウムを発電の燃料として再利用できる。このため、経産省は実現すれば、核のごみを減らせるほか、ウランの輸入も減らせるとしてきた。
日本は、使用済み核燃料を全て再処理する方針をとっており、すでに取り出したプルトニウムを国内外に合計四十七トン保有する。高速炉の開発が遠のけば行き場のないプルトニウムがさらに増えることになる。
作業部会でCEAの担当者は、アストリッドの出力を当初予定の六十万キロワットから十万〜二十万キロワットに大幅縮小する方針を公表。「当初計画より安いコストで必要なデータが得られる」と説明したが、実証炉の必要性自体についても「現在のウラン市場の状況をみると、それほど緊急ではない」との見解を示した。
フランス政府は二〇一九年までにアストリッドの基本設計の検討を進める計画を示しているが、二〇年以降の進め方は決まっていない。
当初の出力規模で数千億〜一兆円近くに上るとされる建設費は固まっておらず、日本の負担額は分からない。 (伊藤弘喜)