もんじゅ後継 仏、高速炉計画を縮小 「緊急性低い」見解 - 東京新聞(2018年6月2日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/economics/list/201806/CK2018060202000119.html
https://megalodon.jp/2018-0602-1017-31/www.tokyo-np.co.jp/article/economics/list/201806/CK2018060202000119.html


廃炉が決まった高速増殖原型炉もんじゅ福井県)の後継機について議論する経済産業省の作業部会に一日、フランス原子力庁(CEA)の担当者が出席し、日仏で共同研究を進める高速実証炉「ASTRID(アストリッド)」の計画を大幅に縮小する方針を明らかにした。もんじゅに一兆円超の予算を投じながら、成果が出なかった日本政府は、新たな高速炉開発の柱として、アストリッドを活用する方針だったが、規模縮小で日本の計画も見直しを迫られそうだ。
政府は高速炉の実現を核燃料を再利用する「核燃料サイクル」政策に不可欠と位置付けており同政策全体が揺らぐことになる。
高速炉は、通常の原発で使い終わった核燃料から取り出したプルトニウムを発電の燃料として再利用できる。このため、経産省は実現すれば、核のごみを減らせるほか、ウランの輸入も減らせるとしてきた。
日本は、使用済み核燃料を全て再処理する方針をとっており、すでに取り出したプルトニウムを国内外に合計四十七トン保有する。高速炉の開発が遠のけば行き場のないプルトニウムがさらに増えることになる。
作業部会でCEAの担当者は、アストリッドの出力を当初予定の六十万キロワットから十万〜二十万キロワットに大幅縮小する方針を公表。「当初計画より安いコストで必要なデータが得られる」と説明したが、実証炉の必要性自体についても「現在のウラン市場の状況をみると、それほど緊急ではない」との見解を示した。
フランス政府は二〇一九年までにアストリッドの基本設計の検討を進める計画を示しているが、二〇年以降の進め方は決まっていない。
当初の出力規模で数千億〜一兆円近くに上るとされる建設費は固まっておらず、日本の負担額は分からない。 (伊藤弘喜)