保育所で「国旗国歌」 運営指針決定 委員「議論一切なかった」 - 東京新聞(2017年4月1日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201704/CK2017040102000147.html
http://megalodon.jp/2017-0401-0936-21/www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201704/CK2017040102000147.html

厚生労働省は三十一日、三歳児以上を対象に、保育現場で国旗と国歌に「親しむ」と初めて明記する保育所の運営指針を正式決定した。文部科学省が同様の趣旨を幼稚園の教育要領に盛り込んだことを受けた見直しで、幼児教育の整合性が理由。二〇一八年度に施行する。
今回見直した「保育所保育指針」は、乳幼児の成長や安全面で配慮する点について、保育現場での順守や努力を求める内容。三歳児以上が「保育所内外の行事で国旗に親しむ」「国歌、唱歌、わらべうたやわが国の伝統的な遊びに親しむ」と記した。
指針の改定は、厚労省有識者委員会が意見をとりまとめ、二月に同省が案を公表した。
複数の委員は「国旗と国歌に関する議論は一切なかった」と話す。これに対し厚労省は「幼稚園や認定こども園との幼児教育の整合性は、委員会で認識が共有されている」と説明している。
厚労省は二月に改定案を公表。その後のパブリックコメント(意見公募)では、国旗と国歌の記載について「削除してほしい」「押し付けにならないようにしてほしい」との意見が寄せられた。「伝統や文化に触れる」観点での賛成意見もあった。

籠池氏側が抗議書 証人喚問の「偽証」発言 - 共同通信 47NEWS(2017年4月1日)

https://this.kiji.is/220582987102799348
http://archive.is/2017.03.31-224035/https://this.kiji.is/220582987102799348

大阪市の学校法人「森友学園」を巡る問題で、籠池泰典氏の弁護士が1日未明、籠池氏の証人喚問の発言に対し、偽証の疑いがあると指摘した自民党総裁特別補佐の西村康稔衆院議員らに抗議書を郵送したと明らかにした。
抗議書は3月31日付。「籠池氏は自己の記憶に忠実に、質問に答えた。偽証はしていない」と主張。西村議員らの発言について「法的根拠を欠き、名誉毀損だ」として、撤回を求めている。

自民議員に送付された抗議文
http://yama-ben.cocolog-nifty.com/ooinikataru/20170331kougisho.pdf

辻元氏バッシング 安倍首相が「デマ」に便乗 露骨な疑惑隠し?:特報 - 東京新聞(2017年3月30日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/tokuho/list/CK2017033002000145.html

何度も中傷やデマの被害に遭ってきた民進党辻元清美衆院議員が、学校法人「森友学園」(大阪市)への国有地売却問題でもネット右翼ネトウヨ)や右派メディアからバッシングされている。学園の籠池泰典氏の「百万円寄付」証言などで野党に攻められている安倍晋三首相も、「辻元氏にも同じことが起きている」などと言及した。首相や妻昭恵氏の政治的関与の有無とは次元の異なる話を持ち出すことで、問題の焦点がぼかされかねない。 (白名正和、三沢典丈)

(内容)
http://blog.livedoor.jp/votunez/archives/2126712.html

渦中の辻元清美に訊く「デマと保守」 - 文春オンライン(2017年4月1日)


http://bunshun.jp/articles/-/1908

(常井 健一さんがインタビューした記事)

先日、地元の大阪で街頭演説していたら、向こうからおばちゃんが自転車で走ってきて、『息子が自衛官なんや』と。『国会の質問で稲田さんに本当によく言ってくれた』と。自衛隊の家族はNHKの国会中継をしっかり見ているんですよ。今までなかったですよ、自衛官の家族が私に近寄ってくるとか(笑)。『もっと言え、もっと言え』という感じでしたよ。
....

小池さんが都知事に出る前、会合で隣り合わせになって、私、聞いたんです。『どうよ、安倍政権。小池さんを閣僚に起用したらバンバン仕事できるのに、安倍さんの周りの親衛隊になっている女性たち、アレ、ないよ』と言ったら、小池さんが『いやあ、安倍政権から見たら、私が〈リ・ベ・ラ・ル〉なんだって。私がリベラルだったら、辻元さんはどうなっちゃうのよ(笑)』と言ったわけよ。二人でコソコソ笑っていたの。
小池さんは今、溜まっていたマグマが爆発しているよね。男たちがだらしないから」
....

多数派が必ずしも正義というわけではない。少数者が正論を訴え、世論の支持があれば、マンモス与党をも凌駕できる。オープンな場の言葉だけで政党や思想の違いを飛び越え、国策が変わる瞬間は意外にあるのだ。だから、国会論戦への興味は尽きることがない。

「日本会議の研究」出版禁止の仮処分取り消し - NHK(2017年3月31日)

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20170331/k10010933101000.html
https://megalodon.jp/2017-0401-0545-09/www3.nhk.or.jp/news/html/20170331/k10010933101000.html

憲法改正などを掲げる民間団体、日本会議の活動などを記した書籍について、東京地方裁判所は、出版の禁止を命じたことし1月の仮処分を取り消し、出版を認める決定を出しました。
扶桑社が去年5月に出版した「日本会議の研究」という新書では、団体の活動や政治との関わりなどが、著者の視点から批判的に書かれていて、団体と深い関わりがあると書かれた男性が、内容は事実に反するなどとして出版の禁止などを求める仮処分を申し立てました。

ことし1月、東京地方裁判所は、男性の過去の活動について書かれた2行分の記述について真実とは言えないとして出版の禁止を命じる仮処分の決定を出し、扶桑社が異議を申し立てたため、別の裁判長が改めて審理していました。

31日の決定で東京地裁の中山孝雄裁判長は「著者が複数の人に取材したと説明し、メモがあることも考慮すると真実でないと断定するのは疑念が残る」として出版の禁止を命じた仮処分を取り消し、出版を認めました。

この新書は18万部を超えるベストセラーとなっていて、扶桑社は、1月の決定で指摘された2行分の記述を黒塗りにして販売を続けていましたが、今後の対応を検討するということです。

一方、仮処分を申し立てた男性の弁護士は「決定には重大な事実誤認があり容認できない」として東京高等裁判所に抗告するとしています。

日本会議の研究 (扶桑社新書)

日本会議の研究 (扶桑社新書)

東京地裁「日本会議の研究」販売認める - 毎日新聞(2017年3月31日)

http://mainichi.jp/articles/20170401/k00/00m/040/102000c
http://archive.is/2017.04.01-005101/http://mainichi.jp/articles/20170401/k00/00m/040/102000c

出版差し止めを取り消す逆転決定
ベストセラーとなった新書「日本会議の研究」(扶桑社)の出版差し止めを命じた仮処分決定について、東京地裁(中山孝雄裁判長)は31日、扶桑社の不服申し立てを認め、差し止め命令を取り消す逆転決定を出した。差し止めを認めた1月の決定は一部の記述について「真実ではない可能性が高い」と判断したが、今回の決定は差し止めにはより厳格な立証が必要と言及した上で、「真実ではないことが明白であると認めるのは困難」と認定した。
新書は著述家の菅野完(すがの・たもつ)氏が昨年5月に出版。「日本会議」の源流とされる宗教団体の元幹部の男性が差し止めを求めた。
1月の決定は、男性が1970年代に宗教団体の機関誌の購読拡大に力を入れ、購読料を支払うために消費者金融から借金した人が自殺しても「馬耳東風であった」などとした記述について、「削除しない限り、販売してはならない」と命じていた。
扶桑社は「主張を理解いただいた」とコメント。男性側は「全く容認できない」として東京高裁に保全抗告する方針。【伊藤直孝】

日本会議の研究 (扶桑社新書)

日本会議の研究 (扶桑社新書)

伊方仮処分却下 何をそんなに急ぐのか - 東京新聞(2017年4月1日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2017040102000181.html
http://megalodon.jp/2017-0401-0935-58/www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2017040102000181.html

目前に世界最大級の地震の“巣”。海しか逃げ場がない人たち。それでも、四国電力伊方原発に差し迫った危険はないという。「過ちは繰り返しません」。広島の、福島の嘆きが胸に突き刺さる。 
あと戻りが加速する−。
「日本で最も動かしてはいけない原発」。伊方原発を、そう呼ぶ人は少なくない。
世界最大級の断層帯である中央構造線が間近を走り、南海トラフ巨大地震の想定震源域にも近い。
三月末で高知大防災推進センターを退任した岡村真・前特任教授は、中央構造線の活動性を指摘し「計算通りに地球は動かない」と警告した。
地元愛媛新聞が先月までに実施した愛媛県民の世論調査では、再稼働に否定的な意見が七割近くに上る。六割以上が避難計画の実効性に疑問を感じ、過半数放射線被ばくの不安を訴える。
伊方原発は、日本一細長い佐田岬半島の付け根にある。半島唯一の国道197号は地滑りの危険地帯。つまり、逃げ場がない。
それでも広島地裁は、原子力規制委員会地震動の過小評価はなく、避難計画の是非は棚上げにして「住民が放射線被ばくにより重大な被害を受ける危険はない」と結論づけた。「人格権」も侵害されていないとして住民らの運転差し止めの申し立てを却下した。
昨年十一月、愛媛県は重大事故を想定し、原発三十キロ圏内の住民ら二万三千人が参加する大規模な避難訓練を実施した。
重大な被害の危険がないなら、このような訓練をしたり、安定ヨウ素剤を配布したりする必要もないではないか。
「原子炉施設から放射性物質が放出されることのない安全性を確保することは、少なくとも今の科学技術では不可能だ。わが国の社会がどの程度の危険性であれば容認するかの社会通念を基準とするしかない」。昨年四月、九州電力川内原発1、2号機の運転差し止め請求を退けた、福岡高裁宮崎支部が提示した判断の枠組みだ。
松山など三つの地裁に同様の請求がなされており、全国各地で原発運転差し止めの裁判が続く中、今回の決定は、現在唯一の高裁判断である福岡高裁の枠組みに従うべきだという考え方の上に立つ。
電力事業者、政府、そして司法にも、あらためて問い直したい。
ヒロシマやフクシマの不安と嘆きを置き去りに、誰のため、何のために、今再稼働を急ぐのか。

いま読む日本国憲法(40)第64条 立法が司法チェック - 東京新聞(2017年4月1日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/imayomu/list/CK2017040102000134.html
http://megalodon.jp/2017-0401-0935-31/www.tokyo-np.co.jp/article/politics/imayomu/list/CK2017040102000134.html


国会に関する規定を並べた第四章(四一条〜)最後の条文。裁判官の罷免、つまり辞めさせるかどうかを決める弾劾裁判所について定めています。三権分立の中で、立法が司法をチェックする役割を定めた条文と言えます。
弾劾裁判所では、裁判官役の「裁判員」は衆参各七人の国会議員で構成。訴追された裁判官が「職務上の義務に著しく違反し、又(また)は職務を甚だしく怠ったとき」「裁判官としての威信を著しく失うべき非行があったとき」(裁判官弾劾法二条)に罷免します。これまでに弾劾裁判を受けた裁判官は延べ九人で、うち七人が罷免されました。
弾劾裁判所とは関係ありませんが、自民党改憲草案は「六四条の二」として、政党条項を新たに設けています。政党は議会制民主主義に不可欠とした上で、国が政党の「活動の公正」を確保し「健全な発展」に努めるよう求めています。
草案Q&Aは、現行憲法には政党に関する規定がなく、政党法も存在しないことに触れ「憲法に(政党についての)規定を置くことにより、政党助成や政党法制定の根拠になる」と説明しています。
しかし、「公正」や「健全」はあいまいな概念です。このため、自由であるべき政党活動が「政府の判断に従属させられるのではないか」と懸念する声が出ています。
     ◇
「読むための日本国憲法 東京新聞政治部編」(文春文庫)をベースに、憲法の主な条文の解説を随時掲載しています。

自民党改憲草案の関連表記
(六四条は現行条文とほぼ同じ)
 六四条の二
(1)国は、政党が議会制民主主義に不可欠の存在であることに鑑み、その活動の公正の確保及びその健全な発展に努めなければならない。
(2)政党の政治活動の自由は、保障する。
(3)前二項に定めるもののほか、政党に関する事項は、法律で定める。

「“おせっかい”次世代に」 柏に交流の場、評判呼ぶ:千葉 - 東京新聞(2017年4月1日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/chiba/list/201704/CK2017040102000158.html
http://megalodon.jp/2017-0401-0935-05/www.tokyo-np.co.jp/article/chiba/list/201704/CK2017040102000158.html

介護や育児などを通して、日常生活で感じた悩み、喜びを語り合う交流の場が、柏市中心部の二カ所で定期的に設けられ、評判を呼んでいる。運営する住民有志は「気軽に立ち寄ってほしい。雑談を楽しみながら地域のきずなを深めたい」と話す。 (堀場達)
会場は、イオンモール柏と、市立文化施設のパレット柏で、いずれも無償提供だ。イオンの店舗では「おしゃべり広場・きらら」、パレットでは「談話室」として、それぞれ月二回ずつ隔週で開かれている。
市内を拠点に活動するグループ「介護・認知症の家族と歩む会」と「笑顔の会・きらら」が主催し、昨年七月から始めた。歩む会世話人代表の北川邦彦さん(76)は「よもやま話に耳を傾けたり、相談事に乗ったりすることが目的」と打ち明ける。
立ち寄る人の中には、夫の愚痴を長々と話し続ける高齢女性も。「難しいトラブルは専門の窓口で解決してもらうしかないけれど、ただ話を聞いてあげるだけで、気分がすっきりする場合もある。そんな手助けができれば」と北川さん。「昔は町内の年寄りが担っていた聞き役を引き受けることで、私たちも視野を広げたい」と話す。
立ち寄ってもらうきっかけにと毎回、ちょっとしたイベントも用意している。笑顔の会世話人代表の小林順子さん(68)はスギナやドクダミなどを使った手作りの野草茶を振る舞う。
小林さんの知り合いで、ハンドセラピストの養成教室を松戸市で主宰する山本千鶴子さん(46)は、手弁当で、来場したお年寄りらにハンドセラピーを施す。「障害などで話すことは苦手でも、手を触れ合って意思が通じやすくなる。コミュニケーション手段の一つであることを伝えていきたい」と笑顔を見せる。
近隣の聖徳大学松戸市)、開智国際大学柏市)の学生が手伝いに来ることもあり、北川さんは「いろいろな分野の人が集まって取り組む“おせっかい”を次世代に引き継いでいきたい」と言葉を弾ませる。
北川さんたちは、活動に注目した松戸市社会福祉協議会の依頼により、五月から月一回の「談話室」を同市総合福祉会館で新たに運営していく予定だ。

「独」国名の当て字やめて 漢字愛するドイツ人・八王子のシュミッツさん:首都圏 - 東京新聞(2017年4月1日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/metropolitan/list/201704/CK2017040102000179.html
http://megalodon.jp/2017-0401-0934-42/www.tokyo-np.co.jp/article/metropolitan/list/201704/CK2017040102000179.html

ドイツを漢字で「独」は差別的だ−。東京都八王子市に住む本紙読者でドイツ国籍の漢字研究者、クリストフ・シュミッツさん(47)が自費出版した漢字字典英訳版で、こう訴えている。形から人々の思想が読み取れる漢字に魅了され、奥深さを西洋の人にも伝えようと十二年かけて英訳した字典。それだけに、母国の表記には納得できないそうだ。 (小野沢健太)
シュミッツさんは、ドイツのデュッセルドルフ大学で哲学や西洋、日本の歴史を学んでいた一九九七年、漢字研究の第一人者の白川静さん(一九一〇〜二〇〇六年)のインタビュー記事が載った日本の新聞を読み、説得力を感じた。
その後、東京大の研究生だった二〇〇三年に白川さんを訪ねた際、著書の漢字字典「常用字解」の出版前の原稿を見せてもらった。常用漢字の成り立ちと奥深さの分かりやすい解説に感動し、翻訳を決意した。
欧米では、漢字を造形美として評価する動きもあるが、その成り立ちまで詳しく解説した字典はほとんどないという。白川さんの学説を世界に伝えるため、母国のドイツ語ではなく英語版を作ることにした。
「同じ文字でも音読み訓読み、複数の意味がある。複雑な漢字をアルファベットで説明するのは難しかった」と笑うシュミッツさん。東京大の研究生を終えた〇四年以降も日本で生活し、語学講師などをしながら英訳を続けた。
「『口』という漢字は、『信』『告』など宗教に関係する文字に多く使われている。字源が人間の口の形ではなく、神への祈りを記した祝詞を入れる容器に由来しているから」。文字それぞれの由来、背景から社会状況も見える。「漢字は文字の宇宙のようです」
それだけ漢字を愛するシュミッツさんが嫌いな漢字が、ドイツの当て字「独」だ。獣偏を使っていることに、差別視がうかがえるという。「漢字を知るドイツ人としては、この文字は変えてほしい」。白川さんも生前、シュミッツさんの主張を聞いたとき、「それが日本人の中華思想ですよ」と、差別意識が文字に表れていると同意したという。
新聞を読んでいて、ドイツの出来事を報じた記事の見出しに「独」があると悲しい気持ちになる。「余計な意味が込められないよう、漢字を使わない国には当て字をせず、カタカナで統一してほしい」
英訳版「常用字解」は一万五百八十四円。巻末に白川さんの功績、自身の経験を踏まえた漢字の勉強のコツも盛り込んだ。
東京都港区南青山の書店「ブッククラブ回」=電03(3403)6177=で販売中。

◆識者談話 音読みを拾ったものではないか
<京都大人文科学研究所付属東アジア人文情報学研究センターの安岡孝一教授(人文情報学)の話> 国名の当て字の由来ははっきりしない部分が多いが、ドイツ(独逸)の場合、「独」と「逸」の2文字に関連性はないことなどから、音読みを拾ったものではないか。
白川静> 福井市出身。3000年以上前の中国の甲骨文字を研究し、漢字の字形には呪術(じゅじゅつ)や祭祀(さいし)にかかわるものが多く含まれるとする「白川文字学」を打ち立て、2004年に文化勲章を受章した。
「常用字解」は、03年に中高生向けに執筆した入門書。出版当時の常用漢字1945文字の字源や用例を解説している。

教材に教育勅語、否定せず 政府「憲法に反しない形で」 - 朝日新聞(2017年4月1日)

http://www.asahi.com/articles/ASK305RC2K30UTIL03Y.html
https://megalodon.jp/2017-0401-0334-48/www.asahi.com/articles/ASK305RC2K30UTIL03Y.html

安倍内閣は31日、戦前・戦中に道徳や教育の基本方針とされた教育勅語(ちょくご)について、「憲法教育基本法等に反しないような形で教材として用いることまでは否定されることではない」との答弁書閣議決定した。だが、教育勅語は、過去に国会で排除・失効決議が出ており、答弁書との整合性や、教育現場でどのように使われるのかが問題になりそうだ。
民進党初鹿明博衆院議員の質問主意書に答えた。
教育勅語は、明治天皇が1890年に国民に授ける形で示した「教え」。両親への孝行など一般的な道徳を表す項目がある一方、国民は君主に支配される「臣民」とされ、国に「万一危急の大事が起こったならば、大義に基づいて勇気をふるい一身を捧げて皇室国家のためにつくせ」(旧文部省図書局の通釈)とも書かれている。
だが、戦後の1948年、国会が「主権在君並びに神話的国体観に基づいている」ことから、「基本的人権を損」なうなどとして教育勅語の排除・失効の確認を決議。森戸辰男文部相(当時)は同年6月の衆院本会議で「教育上の指導原理たる性格を否定してきた」とし、憲法教育基本法などの制定で「法制上明確にされた」と答弁した。
今回の答弁書でも「勅語を我が国の教育の唯一の根本とするような指導」は「不適切」としている。松野博一文部科学相はこれまでの記者会見で、憲法教育基本法に反しないような配慮があれば「教材として用いることは問題としない」と発言していた。
一方、第1次安倍政権時の2006年の国会で、伊吹文明文科相(当時)は「戦中の教育に対する反省などから、天皇陛下のお言葉を基本に戦後の教育を作ることは、そぐわないということになり、教育基本法が作られ、衆参両院の議決によって教育勅語は実質的に廃止されたと理解している」と述べている。
教育勅語は、学校法人「森友学園」が運営する幼稚園で園児が暗唱していたことが報道などで取り上げられるようになり、国会でも勅語をめぐる閣僚の認識が論点になった。(水沢健一)

権威主義的な使い方されかねない
島薗進上智大教授(日本宗教史)の話 問題は「教育の唯一の根本」かどうかではない。臣民である国民に天皇の命ずる教えに従うことを強いたことが問題。権威に従う態度を強い、神聖な天皇に命を捧げるということまで含む。個々人の命が軽んじられた歴史を学ぶためなら必要かもしれないが、教育現場で一方的に教え込む権威主義的な使い方をされかねない。日本の未来に関わる判断であり、時の政府の都合で閣議決定などすべきものではない。