桜宮高自殺 大阪市に7495万円賠償命令 東京地裁 - 毎日新聞(2016年2月24日) 

http://mainichi.jp/articles/20160224/k00/00e/040/200000c
http://megalodon.jp/2016-0224-1542-37/headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160224-00000040-mai-soci

2012年12月に大阪市立桜宮高校のバスケットボール部主将の男子生徒(当時17歳)が自殺したのは教諭だった元顧問(50)=懲戒免職=の体罰が原因として、両親ら遺族が大阪市に約1億7400万円の賠償を求めた訴訟の判決で、東京地裁は24日、体罰と自殺の因果関係を認め、大阪市に約7495万円の賠償を命じた。岩井伸晃裁判長は「元顧問の暴行がなければ自殺することはなかった」と述べた。市の調査や元顧問を有罪とした刑事裁判と同様の判断となった。

反安保法で野党連携が加速 民主・維新合流、5党協議会 - 東京新聞(2016年2月24日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201602/CK2016022402000114.html
http://megalodon.jp/2016-0224-0909-36/www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201602/CK2016022402000114.html

民主党岡田克也代表と維新の党の松野頼久代表は、維新が解党し、民主に加わる方式で合流することで基本合意し、二十三日のそれぞれの党幹部会合で大筋了承を得た。安全保障関連法の廃止を目指す野党連携は、四月の衆院北海道5区補選や夏の参院選に向け加速することになった。五党による連携協議会の設置も決まった。 (古田哲也)

野党勢力結集 「安倍政治」の対抗軸を - 東京新聞(2016年2月24日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2016022402000134.html
http://megalodon.jp/2016-0224-0910-06/www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2016022402000134.html

夏の参院選は「安倍政治」の継続か否かを問う重要な選挙だが、野党がバラバラで臨めば、安倍政権を利するだけだ。野党は党利党略を捨て、政権批判票の受け皿づくりに力を注ぐべきである。
すべての選挙区での独自候補擁立を基本方針としてきた共産党にとっては大きな決断だったに違いない。
志位和夫委員長が参院選では三十二の改選一人区を対象に、既に擁立した公認候補のうち「かなりの人は立候補を取り下げることになる」と正式に表明した。
これを受けて、民主、共産、維新、社民、生活の野党五党はきのう幹事長・書記局長会談を開き、選挙協力をめぐる協議を始めた。
もともとは理念も政策も違う政党である。共産党との選挙協力に対する拒否感もあるという。
しかし、憲法違反と指摘される安全保障関連法の成立強行や企業寄りの経済政策など、安倍晋三首相率いる自民党政治は、看過できないところまできている。安倍政治に歯止めをかけるという大義の下、野党は勢力を結集すべきだ。
共産党は、安保関連法廃止と集団的自衛権の行使を認めた閣議決定撤回を選挙協力の条件とする。妥当な判断だ。これに限らず、企業・団体献金禁止や企業寄りの労働法制撤廃、原発に頼らないエネルギー政策など、可能な限り幅広く政策合意を進めてほしい。
共同通信社による直近の世論調査では、内閣支持率は40%台を維持しているが、支持理由は首相以外に「ほかに適当な人がいない」が最も多く、約四割に達する。
政権批判票が行き場を失ったままでは、野党の責任は免れまい。批判票の受け皿づくりはもはや、野党最大の責務と心得るべきだ。
一方、民主党岡田克也、維新の党の松野頼久両代表がきのう会談し、三月中の両党合流に向けて最終調整に入った、という。新しいイメージの新党で、参院選を戦う狙いがあるのだろう。
理念や政策が一致すれば、合流もありうべしだが、議員の生き残りが主眼だと有権者に見透かされれば逆効果だ。実際、世論調査では両党が合流して一つの党になる必要はないと答えた人が六割を超える。民主、維新両党の合流への期待は高くないのが実態だ。
国民の「冷めた目」を乗り越えて、民主党が再び政権を託すに足る信頼を得るには、安倍政治とは違う理念・政策の選択肢を地道に練り上げるしかあるまい。問われるのは見た目でなく中身である。

(余録)英国の政党政治で… - 毎日新聞(2016年2月24日)

http://mainichi.jp/articles/20160224/ddm/001/070/163000c
http://megalodon.jp/2016-0224-0923-05/mainichi.jp/articles/20160224/ddm/001/070/163000c

英国の政党政治トーリー党が保守党に、ホイッグ党自由党に改名されたのは19世紀半ばのことだった。17世紀後半に連携して名誉革命を成功させ、政党政治の扉を開いた両党だが、以来1世紀半にもわたり党名はあまり気にしなかったのか。
というのもトーリーとはアイルランドの追いはぎ、ホイッグとはスコットランドの馬泥棒や反徒という意味である。始まりは国王の後継問題で対立した両派だったが、お互いに投げ合った悪罵(あくば)が党派名となったのだった。そもそも徒党と政党の区別のない時代だった。
日本で最初期の政党が「愛国公党」を名乗ったのも、「党」が私益にもとづく徒党を意味した時代に、公益のための結社なのを主張したかったのだろう。近代には世界的に自由や民主、進歩や保守、あるいは社会、共産といったその政治理念が政党の名に掲げられる。
さて、今日の日本はどうか。民主党への維新の党の合流に向けての動きが急で、その条件の一つが民主党の党名変更だという。当初は民主党の解党を求めていた維新だが、党名変更によって「新党色」が打ち出されれば合流に応じるという線で合意が目指されている。
そもそも自民1強状態での安倍政治への批判の受け皿となるはずの野党である。それにしては存在感が乏しすぎた中での野党合流とあれば、これを自らを変えるチャンスとしなければ未来はない。新たな党名と綱領はその旗印として大事に考えてもらわねばならない。
むろん英国の故事を振り返れば、党名自体が問題なのではない。くむべき国民の声をくむならば、「馬泥棒」でも「追いはぎ」でも歴史を動かせる。

内閣法制局 内部文書を国会に示せ - 東京新聞(2016年2月24日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2016022402000133.html
http://megalodon.jp/2016-0224-0912-59/www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2016022402000133.html

どのように集団的自衛権をめぐる憲法解釈を変更したのか。内閣法制局は内部検討資料があるのに国会への開示を拒んでいる。憲法上の重大問題だけに、解釈変更のプロセスは明らかにすべきだ。
日本は相手から攻撃を受けていないのに、武力で同盟関係にある他国を守る−。簡単に言えば集団的自衛権はそう説明できる。政府は従来一貫して、この行使は認められないとしてきた。
有名なのは一九七二年の政府見解だ。ここでは、自衛の措置をとることはできるが、平和主義を基本原則とする憲法が無制限にそれを認めているとは解されないこと。さらに集団的自衛権の行使は憲法上、許されないことをはっきりと明言している。
むろん、「憲法の番人」といわれる歴代の内閣法制局長官もこの見解を踏襲している。国民に対しての約束事であり、国際社会に対する約束事であったはずだ。
ところが、一昨年七月に安倍晋三内閣がその約束事をひっくり返し、集団的自衛権の行使容認を閣議決定してしまった。「専守防衛」という防衛政策を根底から覆すとともに、多数の憲法学者から「憲法九条に反する」という声が上がった。立憲主義が破壊されたという指摘も多かった。
閣議決定に至って当然、内閣法制局内部でも検討があったはずだが、これまで同局では内部検討の経緯を示した資料を公文書として残していないとしてきた。公文書として保存しているのは、首相の私的諮問機関の資料や与党協議会の資料、閣議決定原案の三種類だけと思われていた。
しかし、横畠裕介長官は国会で、内部検討資料とみられるデータが存在することを認めた。国会審議に備えた想定問答の作成途中のものだと考えられている。法制局が使うサーバー内に保存されているようだ。
それならば、国会に対して開示すべきではないか。公文書管理法が定める行政文書にあたらないと判断しているらしいが、そもそも同法は行政の意思決定のプロセスを外部からチェックできる趣旨でつくられている。後の歴史検証にとっても不可欠である。
この閣議決定憲法改正に等しい事態だった。それを受けた安全保障関連法も憲法違反の疑いが濃厚で、野党から廃止法案が出ている。国会に提示すべき文書といえよう。内閣法制局が重要文書の開示を拒み続けるのは、国民の「知る権利」の侵害と同じだ。

虐待でトラウマと孤独 養護施設退所後の支援活動報告:群馬 - 東京新聞(2016年2月24日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/gunma/list/201602/CK2016022402000181.html
http://megalodon.jp/2016-0224-0949-46/www.tokyo-np.co.jp/article/gunma/list/201602/CK2016022402000181.html

虐待を受けた子どもの支援について理解を深めるシンポジウム「フェアスタートアクション2016 子ども虐待と社会的養護を考える」が、前橋市の市総合福祉会館で開かれた。現場で子どもらと向き合う人たちのパネルディスカッションがあり、それぞれの立場から現状の紹介や問題提起をした。 (原田晋也)
虐待を受けた子どもの心理に詳しい児童精神科医や、子どもを支援するケアワーカーら四人が登壇。それぞれが活動を紹介し、意見交換した。
児童養護施設などを退所した人たちの生活を支援している相談所「ゆずりは」(東京都)の所長高橋亜美さんは、退所者の多くが虐待のトラウマ(心的外傷)や孤独が原因で困難な状況に置かれていると明かした。多くが非正規の仕事に就き、生活保護の受給率も高いという。女性は望まない妊娠をする人や配偶者から暴力を受けている人が多く、都の婦人保護施設の入所者の約六割は児童養護施設の出身者というデータもあるという。
宇都宮市で施設退所者らの自助グループを主宰している塩尻真由美さんは、三歳から十八歳まで児童養護施設で過ごした自らの経験を語った。「仲間の多くは中学卒業後すぐに就職したが、頼れる人なしでやっていけるわけがなく、かといって失敗しても施設に戻れない。罪を犯して刑務所に入った人も見てきた」と振り返った。
塩尻さんは高校卒業後に住み込みで働けるバスガイドになったが、一人で生活する不安に耐えきれず一年で体調を崩し、施設の恩師に相談して立ち直ることができたという。
施設退所者の心情について「親じゃない人にここまで育ててもらい、自立しなきゃいけない年齢なのに、これ以上迷惑をかけては申し訳ないと思っている。一人だけになった時の静かな空気と日々闘いながら過ごしている」と解説。「施設の先生や里親は、まず生活スキルを身につけさせようとするが、大抵のことは人に聞けば解決できる。それよりも、施設に来る前に散々な思いをしてきた子たちに必要以上に他人に身構えなくても大丈夫だと教え、一緒にいて安心できる人をたくさんつくることが重要だ」と語った。
シンポは前橋市児童養護施設などを退所した子どもらの支援をする「ひだまりサロン」を運営している一般社団法人「ヤング・アシスト」が主催。約百人が来場した。

貧困対策に「子ども庁」必要 政策提言へ超党派議連発足 - 東京新聞(2016年2月24日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201602/CK2016022402000117.html
http://megalodon.jp/2016-0224-0916-52/www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201602/CK2016022402000117.html


経済的に厳しい家庭の子どもたちを支援するため、自民、民主、公明、共産など各党の国会議員有志約六十人が二十三日、超党派の「子どもの貧困対策推進議員連盟」を発足させ、設立総会を開いた。参加議員からは「省庁縦割りではなく『子ども庁』をつくって一元的に対応するべきだ」「ひとり親が離婚した相手から確実に養育費を受け取れるようにすることが現実的だ」といった意見が出た。
会長に就任した自民の田村憲久厚生労働相は「いろいろな施策があるが、うまく行き渡っていない。多様な声をいただき、貧困を早急に解消したい」と述べた。支援の現場の視察や民間団体からのヒアリングなどを重ね、二〇一七年度以降の予算編成に向け、政策提言していくという。
また政府は二十三日、当事者を着実に支援につなぐため、全国の自治体やNPOの相談窓口に統一的なロゴマークや名称を掲げるよう、呼びかけることを決めた。窓口は「こどもすくすくスクエア」、相談員は「こどもすくすくサポーター」で、楕円(だえん)形の顔が五つ寄り添うマークのデザインも公表した。

(私説・論説室から)岩国にみる「アメとムチ」 - 東京新聞(2016年2月24日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/ronsetu/CK2016022402000135.html
http://megalodon.jp/2016-0224-1053-29/www.tokyo-np.co.jp/article/column/ronsetu/CK2016022402000135.html

山口県岩国錦帯橋空港に降りた。米軍岩国基地の滑走路が沖合移設された後に開設された軍民共用空港だ。土曜日なのに時折、戦闘機のエンジンを回すごう音が響いた。
沖合移設は米軍機の騒音と危険に悩まされていた住民が要望した。埋め立てに使う土砂は岩国市内の愛宕山を削り、跡地を住宅地として整備すれば、滑走路移設と宅地開発が同時に進む一石二鳥のアイデアだった。
ところが、宅地開発を進めた県と市は赤字が見込まれるとして国に買い取りを要請。国は神奈川県の厚木基地から移転する空母艦載機部隊の住宅用地として購入した。
艦載機移転と米軍住宅建設に反対する田村順玄岩国市議は「最初から愛宕山を米軍住宅にする計画だったのではないか」と疑う。
艦載機移転に反対した当時の市長は、国が約束していた岩国市役所の建設補助金負担をほごにされ、受け入れ容認派の現市長に敗れた。国は現市長の再選前、市の要望通り、全小中学校へのエアコン設置を発表、三選前には岩国錦帯橋空港への増便を許可した。
見え透いた「アメとムチ」。艦載機が移駐すれば、米軍機だけで百三十機近くとなり、極東最大の基地とされる沖縄の嘉手納基地を上回る。これに既存の自衛隊機約四十機が加わる。沖合移設の効果を相殺するほどの騒音と危険にさらされるのではないだろうか。ムチを実感するのはそのときだ。 (半田滋)

岩国騒音訴訟、国に賠償命令 飛行差し止め請求は棄却 - 朝日新聞(2015年10月15日)

http://www.asahi.com/articles/ASHBG3VGCHBGTZNB004.html
http://megalodon.jp/2016-0224-1050-50/www.asahi.com/articles/ASHBG3VGCHBGTZNB004.html

米軍機の飛行差し止めについては「国は米軍機の活動を制限できる立場にない」と指摘。自衛隊機の飛行差し止めについても「行政訴訟はともかく、民事訴訟による請求は不適法」と判断した。

......
岩国基地 山口県岩国市の中心部を流れる錦川河口の三角州にあり、面積は約790ヘクタール。FA18ホーネット戦闘攻撃機や米軍普天間飛行場沖縄県)から移駐したKC130空中給油機など約75機が所属し、軍人やその家族ら米軍関係者約6600人が暮らす。海上自衛隊も共用している。2017年ごろには米軍厚木基地(神奈川県)から空母艦載機59機の移駐が予定され、嘉手納基地(沖縄県)と並んで極東最大規模の航空基地になる。

日本で唯一!米軍基地内の空港のヒミツ - NAVER まとめ
http://matome.naver.jp/odai/2136248554640543901

(筆洗)眠れないという方には、落語をお薦めしている - 東京新聞(2016年2月24日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/hissen/CK2016022402000116.html
http://megalodon.jp/2016-0224-0919-03/www.tokyo-np.co.jp/article/column/hissen/CK2016022402000116.html

眠れないという方には、落語をお薦めしている。笑っちゃって眠れないんじゃないか。そう聞かれるが、心配には及ばぬ。名人上手の落ち着いた声と安定したリズムが眠気を誘ってくれる。なによりも眠りのさまたげになる現実や心配事を落語のぼんやりした世界が忘れさせてくれる。
「おやすみ、ロジャー」(飛鳥新社)という絵本が世界各地で売れているそうだ。読み聞かせれば子どもが眠ってくれる効果があるという触れ込みで本の帯には「たった10分で、寝かしつけ!」とある。
スウェーデンの行動科学者が二〇一〇年に自費出版し、評判になった。子を早く眠りにつかせたいのは、いつの世のどこのお国でも、親の共通の願いだろう。逆に子どもは親と離れて一人で夢の世界へ向かうことにためらいもある。
試してはいないが、効果に秘密があるとすれば読み方か。特定の箇所では強調あるいは静かな声でなど細かく指示されている。あくびをいれるという箇所もある。眠りを誘われそうである。
日本人の睡眠時間の短さは世界でも折り紙付きだが、そのせいか、日本人の三歳児の約30%が午後十時以降に就寝するという心配なデータもある。三〜五歳児の適切な睡眠時間は十〜十三時間とも聞く。
どの絵本でもかまわぬだろう。昔ながらの読み聞かせは有効である。どの子にもその声は眠りを誘う名人上手の声である。

おやすみ、ロジャー  魔法のぐっすり絵本

おやすみ、ロジャー 魔法のぐっすり絵本

被爆者認定訴訟 幅広い救済への議論を - 毎日新聞(2016年2月24日)

http://mainichi.jp/articles/20160224/ddm/005/070/137000c
http://megalodon.jp/2016-0224-0920-37/mainichi.jp/articles/20160224/ddm/005/070/137000c

原爆被爆者の認定見直しが改めて必要だとする司法判断だ。
長崎への原爆投下時、援護対象として国が指定した被爆地域外にいたため被爆者と認められていない「被爆体験者」に対し、長崎地裁被爆者健康手帳を交付するよう長崎県長崎市に命じた。地域外の人を被爆者と認めた初の判決である。
国は被爆者援護法に基づき、長崎の被爆地域を爆心地から南北に各12キロ、東西に各7キロと定めた。当時の行政区域で線引きしたため完全な円形でなく細長い。12キロ圏内でも地域外の場所で原爆に遭った人は被爆者ではなく、被爆体験者として区別されている。この行政の都合による線引きに合理性は見当たらない。
被爆体験者に対し、国は2002年に被爆体験による精神疾患と合併症に限って医療費を支給する支援事業を始めた。一方、手帳を所持していれば医療費は原則自己負担が不要で健康管理手当も出るなど、行政による援助の内容に差がある。
裁判では、被爆体験者が援護法の被爆者に該当するかが争われた。判決は、被爆地域外の住民も外部被ばくのほか、呼吸や飲食などで放射性降下物を摂取し、内部被ばくが生じる状況にあったと認定した。
そのうえで判決は、年間の積算線量が自然放射線の10倍を超える25ミリシーベルト以上の場合、健康障害を生じる可能性があったと結論づけた。低線量の被ばくが健康に与える影響を考慮した判断と言える。
判決は、行政の判断による線引きの範囲外でも原爆による健康被害を受けた可能性があると指摘する一方で、積算線量という新たな線引きの基準を示した。
そのため原告161人のうち被爆者と認定されたのは10人に過ぎず、「全員の救済」を目標とする原告らには納得のいかない結論となった。25ミリシーベルトという基準の妥当性を含めた議論が今後必要だろう。
広島原爆では、長崎の被爆体験者のような支援制度はない。ただし、今回の訴訟と同様に、援護対象区域の拡大を求める動きはある。
原爆投下後の「黒い雨」が多く降った地域を国は援護対象区域に指定した。その区域外で雨を浴びた被害者が被爆者健康手帳の交付を求めて広島地裁に訴訟を起こし、被爆者認定の制度見直しを訴えている。
長崎、広島の被爆者の平均年齢は80歳を超えた。田上富久長崎市長は昨年8月9日の長崎平和宣言の中で、被爆者の実態に即した援護の充実と被爆体験者が生きているうちの被爆地域拡大を強く要望している。今回の判決を一つのきっかけにして、政府は幅広く救済できる制度を考えるべきだ。

 被爆訴訟 画一的な線引きやめよ - 朝日新聞(2016年2月24日)

http://www.asahi.com/articles/DA3S12224179.html?ref=editorial_backnumber
http://megalodon.jp/2016-0224-0925-09/www.asahi.com/paper/editorial.html?iref=comtop_pickup_p

原爆投下時、一定の地域内にいなかった人は「被爆者」と認めない。国のこの枠組みに、司法が疑問を突き付けた。
長崎の爆心地から7〜12キロの被爆地域外にいたため、被爆者並みの援護が受けられない「被爆体験者」161人が起こした集団訴訟で、長崎地裁がうち10人は被爆者だと認めた。
57年に被爆者援護制度ができた際、国は当時の市町村域を基本に被爆地域を指定し、徐々に広げてきた。一部とはいえ司法が初めて地域外の人を被爆者と認定した意義は小さくない。
地域の内か外かで線引きする今の枠組みはやはり無理がある。被爆者かどうかは個人の実情に応じて柔軟に認めるよう、国はやり方を見直すべきだ。
被爆体験者」がいた地域は、理論的には原爆の爆発で生じた初期放射線は届かない。裁判では、爆発後、ちりや雨とともに拡散した放射性物質によって、遠い地域でも健康影響があるほど被曝(ひばく)した可能性があるかが焦点になった。
国は、被爆地域外での被曝は問題にならないほどわずかだ、としてきた。だが判決は、呼吸や飲食で放射性物質を体内に取り込む内部被曝も考慮したうえで、被爆地域外の一部でも健康に影響するような高線量の被曝はありえた、と指摘した。
国のかたくなな考え方に、再考を促したといえよう。
一方で判決は、東京電力福島第一原発事故のデータをもとに、自然被曝の10年分に相当する25ミリシーベルトを、健康被害が生じる線量の目安とした。
ただ、被曝線量を被爆者の新たな基準にすることは困難だろう。被爆後すぐに敗戦を迎えた広島、長崎では、放射性物質による住民の被曝線量を推計できるような調査データは限られている。法令上も、線量は被爆者の要件とされていない。
原爆の人体への影響は未解明な点が多いというのが科学の現状である。科学的根拠を示さなければ、被爆者と認めようとしない国の姿勢は理不尽だ。
被爆地域を基本的な指標としつつも、その外にいた人でも、当時の状況から明確に否定できない限りは被爆者と認める。そういう方向で制度の運用を改めるのが現実的ではないか。
広島でも昨秋、被爆地域外で「黒い雨」を浴びた人たちが、被爆者と認めるよう求める訴訟を起こした。戦後70年を過ぎても、被害者が国と争わなければならない現状は残念だ。
高齢の原告らは次々と亡くなっており、時間がない。国は問題解決へ直ちに動くべきだ。

新電力大手の日本ロジテックが小売り撤退へ 送電使用料払えず - 東京新聞(2016年2月24日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/economics/list/201602/CK2016022402000237.html
http://megalodon.jp/2016-0224-1501-16/www.tokyo-np.co.jp/article/economics/list/201602/CK2016022402000237.html

大手電力会社以外に電気を販売する「新電力」大手の日本ロジテック協同組合(東京)が、三月末に電気小売り事業から撤退する見通しとなったことが二十四日、分かった。資金繰り悪化などを背景に、送電網の使用料(託送料金)を東京電力に支払えなくなったためで、四月からの電力小売りに必要な事業者登録ができない見通しとなった。
ロジテックは発電事業者などから電気を一括購入し、企業や自治体に大手電力よりも安い料金で供給することで、売り上げを伸ばしてきた。川崎市などが契約している。
二〇一五年十二月時点の電力供給力は新電力五位。
東京商工リサーチによると、一五年三月期の売上高は五百五十五億円で、三年間で七倍に伸びている。ただ電力小売りはもともと利幅が薄く、資金繰りが厳しかった。経済産業省資源エネルギー庁は一五年五月、ロジテックが期限内に納付金を支払わなかったとして、社名を公表する措置も取っている。
ロジテックが電力事業をやめても、大手電力が代わりに電気を供給するため、電気が止まることはない。ただ、既存顧客は契約を切り替えなければならず、電気代が高くなる可能性がある。
四月からの電力小売り全面自由化で、一般家庭も自由に電力会社を選べるようになるが、新電力大手の撤退は家庭の電力会社の選別姿勢に影響を与えそうだ。