野党勢力結集 「安倍政治」の対抗軸を - 東京新聞(2016年2月24日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2016022402000134.html
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夏の参院選は「安倍政治」の継続か否かを問う重要な選挙だが、野党がバラバラで臨めば、安倍政権を利するだけだ。野党は党利党略を捨て、政権批判票の受け皿づくりに力を注ぐべきである。
すべての選挙区での独自候補擁立を基本方針としてきた共産党にとっては大きな決断だったに違いない。
志位和夫委員長が参院選では三十二の改選一人区を対象に、既に擁立した公認候補のうち「かなりの人は立候補を取り下げることになる」と正式に表明した。
これを受けて、民主、共産、維新、社民、生活の野党五党はきのう幹事長・書記局長会談を開き、選挙協力をめぐる協議を始めた。
もともとは理念も政策も違う政党である。共産党との選挙協力に対する拒否感もあるという。
しかし、憲法違反と指摘される安全保障関連法の成立強行や企業寄りの経済政策など、安倍晋三首相率いる自民党政治は、看過できないところまできている。安倍政治に歯止めをかけるという大義の下、野党は勢力を結集すべきだ。
共産党は、安保関連法廃止と集団的自衛権の行使を認めた閣議決定撤回を選挙協力の条件とする。妥当な判断だ。これに限らず、企業・団体献金禁止や企業寄りの労働法制撤廃、原発に頼らないエネルギー政策など、可能な限り幅広く政策合意を進めてほしい。
共同通信社による直近の世論調査では、内閣支持率は40%台を維持しているが、支持理由は首相以外に「ほかに適当な人がいない」が最も多く、約四割に達する。
政権批判票が行き場を失ったままでは、野党の責任は免れまい。批判票の受け皿づくりはもはや、野党最大の責務と心得るべきだ。
一方、民主党岡田克也、維新の党の松野頼久両代表がきのう会談し、三月中の両党合流に向けて最終調整に入った、という。新しいイメージの新党で、参院選を戦う狙いがあるのだろう。
理念や政策が一致すれば、合流もありうべしだが、議員の生き残りが主眼だと有権者に見透かされれば逆効果だ。実際、世論調査では両党が合流して一つの党になる必要はないと答えた人が六割を超える。民主、維新両党の合流への期待は高くないのが実態だ。
国民の「冷めた目」を乗り越えて、民主党が再び政権を託すに足る信頼を得るには、安倍政治とは違う理念・政策の選択肢を地道に練り上げるしかあるまい。問われるのは見た目でなく中身である。