[大弦小弦]自衛官の集団参拝 - 沖縄タイムス(2019年6月24日)

https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/436506
https://megalodon.jp/2019-0624-1014-37/https://www.okinawatimes.co.jp:443/articles/-/436506

互いの顔も見えない闇の中で、那覇市の男性(41)に会った。23日午前4時半、日本軍の牛島満司令官らを祭る糸満市の黎明(れいめい)之塔。自決の時間に合わせて、男性は来た。恒例となった自衛官の集団参拝も見届けたいという

沖縄戦を戦った日本軍には「感謝の気持ちがある」と語る。自衛隊は戦後、違う組織として出発したはずでは、と聞くと「沖縄を守る仕事は同じ。志は受け継いでもいいと思う」と考えを話してくれた

自衛官が来た。制服の約30人。沖縄の陸自トップを先頭に菊の花を1本ずつささげ、無言で帰って行った

▼夜が明け、魂魄(こんぱく)の塔では花瑛塾の仲村之菊(みどり)塾長(39)に出会った。「愛国団体」を掲げるが、司令官ではなく名もなき犠牲者を弔うこの塔に手を合わせていた。「自衛隊は日本軍の過ちを謝罪していない」と厳しい

▼スパイ視による住民虐殺、持久戦による犠牲拡大。「歴史を認識しないまま自衛隊が沖縄に寄り添うことはできない。侵略と受け取られても仕方がない」と憂う

琉球弧で自衛隊基地の新設が進む。宮古島では住民が不安視した弾薬庫の存在を隠していた。与那国島の住民も、知らない間に弾薬庫と同居させられていた。沖縄戦は、軍隊は住民を守らない、という事実を私たちに教えている。改めて問う。自衛隊は日本軍の後継者なのか、違うのか。(阿部岳)

 

<金口木舌>拒む政権、痛みに同感 - 琉球新報(2019年6月24日)

https://ryukyushimpo.jp/column/entry-941837.html
http://archive.today/2019.06.24-013555/https://ryukyushimpo.jp/column/entry-941837.html

3両を落とした大工、拾った左官が互いに意地を張り受け取らない。大岡越前守が1両を足し、職人たちに2両ずつ渡す。3人が1両ずつを損して解決させる。落語「三方一両損」だ

▼無欲な職人には共感もできようが、こちらには打算を感じる。老後に2千万円の蓄えが必要だという金融審議会の報告書について麻生太郎金融担当相は「誤解、不安を招く」と受け取りを拒んだ
▼政権が気にするのは国民の未来よりも目先の参院選への影響か。受け取らないから関連質問も答えないと閣議決定した。都合の悪い現実、その火消しに躍起になっているようだ
▼都合の悪い事実を国がひた隠しする。その結末を知っている。勝ち続けていると大本営発表をうのみにし、74年前の沖縄は戦火に包まれた。その前年の対馬丸撃沈ではかん口令が敷かれ、肉親の死すら遺族に伝わらなかった
▼5月、沖縄戦体験を福島県で証言した渡口彦信さん(92)は「国が全て正しいと信じさせられた。われわれはみなロボットだった」と強調した。体験者の多くが教訓として伝える
▼「安心安全な年金」「美しい国」。言葉の響きはかつての「富国強兵」と重なる。自身が年金を受給しているかという質問に、麻生氏は「秘書に任せている」とし、答弁できなかった。国民の痛みには鈍感らしい。そんな今の政治を大岡越前守はどう見るのだろう。

 

(斜面) 沖縄で強いられた集団自決 - 信濃毎日新聞(2019年6月24日)

https://www.shinmai.co.jp/news/nagano/20190624/KT190623ETI090001000.php
http://archive.today/2019.06.24-011602/https://www.shinmai.co.jp/news/nagano/20190624/KT190623ETI090001000.php

<一発の手榴弾(てりゅうだん)のまわりに家族や親戚がひとかたまりに集まりました。手榴弾は日本軍から防衛隊員に渡されていたものです。やがて、その手榴弾があちらこちらで轟音(ごうおん)をたてて爆発しました>。74年前、沖縄で強いられた集団自決だ

   ◆

国場幸太郎さんの著書「沖縄の歩み」から引いた。戦後、沖縄で米軍の土地接収に対する抵抗運動の支援などに尽くした人だ。故郷の沖縄を含め、日本の若い人に語り伝えたいと1973年に刊行した。米軍統治下での自由や権利の抑圧も詳述している

   ◆

現状を言い当てたかの一節が目を引く。土地闘争などの鎮圧には米兵が出動したが<これからは“日本仕込み”の警察機動隊がまず出動>し、<アメリカ軍基地は一段と安全に保たれるというわけです>。米軍普天間飛行場の移設先として工事が進む名護市辺野古の光景に重なる

   ◆

きのう23日は沖縄戦で旧日本軍が組織的な戦闘を終えた日とされる「慰霊の日」だった。沖縄全戦没者追悼式で玉城デニー知事は、辺野古を断念するよう政府に迫った。工事強行を「民意を尊重せず、地方自治もないがしろにするもの」と批判している

   ◆

「基地負担軽減に全力を尽くす」とする安倍晋三首相との溝は埋まらない。国土面積の1%に満たない沖縄に米軍専用施設の70%余が集中するいびつな状況は沖縄だけの問題ではない。「国民全体が自ら当事者であるとの認識を持っていただきたい」。ずしりと響く玉城知事の訴えである。

 

親子の法 時代に遅れぬ規定に - 東京新聞(2019年6月24日)

https://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2019062402000135.html
https://megalodon.jp/2019-0624-0750-59/https://www.tokyo-np.co.jp:443/article/column/editorial/CK2019062402000135.html

離婚後に生まれた子に関する「嫡出推定」。親が子を戒める「懲戒権」。古い民法規定が無戸籍の子を生む原因になり、児童虐待の口実にもなる。時代にそぐわぬ定めは早く見直すべきだ。
法相が法制審議会に諮問したのは、嫡出推定と懲戒権の規定だ。嫡出推定は民法七七二条。法律上の父親について、女性が婚姻中に妊娠した場合は夫、離婚後三百日以内に出産した場合は元夫と推定する定めだ。
この規定のため、ドメスティックバイオレンス(DV)から逃れている女性や、離婚直後に元夫とは異なる男性の子を妊娠した女性らが、子が元夫の戸籍に入らないよう出生届を出さないケースが後を絶たない。今も約八百人が無戸籍の状態らしい。
解消するには、家庭裁判所で元夫との間に父子関係がないことを確認したり、血縁上の父に父子関係を認めてもらった上で、戸籍を取得する必要がある。手間がかかり、ためらう人もいる。
無戸籍だと住民票を取得できないなど生活に大きな不利益がある。今や父子関係は簡便なDNA鑑定で証明できる。もはや明治民法の名残は時代にそぐわない。ただし、何らかの事情で鑑定などが不能の場合もある。父親が不確定の事態を回避し、子の法的な地位を安定する必要はある。それを留意し、議論を深めてほしい。
懲戒権もそうだ。民法八二二条は、子の教育や監護に必要な範囲での懲戒権を認めているが、親の「しつけ」名目で虐待するケースもある。二〇一一年の民法改正時には懲戒権削除の意見があったが、「相当なしつけができなくなる」などとして見送られた。「子の利益のため」という前提条件が加えられたが、懲戒権を口実にした虐待が続くという指摘がある。
懲戒権について施行後二年をめどにあり方を検討するとした児童虐待防止法児童福祉法の改正案が今国会で可決された。この規定は本当に必要か。削除を含め、早急な対応が求められる。
民法には再考すべき点が潜在する。例えば生まれた子の父親であることを法的に否定する「嫡出否認」だ。この訴えを起こす権利は夫のみに認められている。男女同権の憲法に反すると考えても、裁判所では「合憲」と判断されている。
親子関係の法は、その時代に即した合理性がいる。何より子どもの権利を守る観点から、民法の見直しは急務だ。

 

民放局の不適切番組 際どさ売る体質が問題だ - 毎日新聞(2019年6月24日)

https://mainichi.jp/articles/20190624/ddm/005/070/027000c
http://archive.today/2019.06.24-012025/https://mainichi.jp/articles/20190624/ddm/005/070/027000c

在阪民放局で、人権への配慮を欠く放送が相次いだ。偏見を助長する恐れのある内容だ。業界全体への信頼にかかわる。
読売テレビはニュース番組で、見た目で性別が分かりにくい人に対し、しつこく確認するという趣旨の企画を放送した。
性の多様さへの理解が社会に広がるなか、個人の性的指向などセクシュアリティーに興味本位で踏み込むものだ。プライバシーの侵害にもあたる。出演していたコメンテーターが、生放送中に苦言を呈したのも当然だ。
一方、関西テレビではバラエティー番組に出演した作家が、韓国人気質について「『手首切るブス』みたいなもん」とコメントした。民族差別や女性蔑視をあおる表現であり、ヘイト発言と受け取られかねない。
いずれも、取材VTRや収録番組で、プロデューサーによる事前チェックや、議論を経た上での放送だったという。適切な問題意識を持っていれば、歯止めをかけられたはずだ。公共的な使命がある放送局としての責任は重い。
特に関西テレビでは、同様の発言が以前にも放送され、社内で議論した上で「差別的な意図はない」と判断していた経緯があった。今回の謝罪コメントで「判断は誤りだった」と認めたが、議論した上での放送ならば、なおさら単なるチェックミスでは済まされない。
チェック体制の見直しだけではなく、送り手の意識改革が不可欠だ。
東京では放送されないローカル番組だった。硬いニュースに笑いを入れてバラエティー化し、軟らかく伝えたいという思いも分かる。
しかし、視聴率を意識するあまり、あえて際どいコメントをさせることで刺激的な番組にしようとしている面もあるのではないか。
他局との差別化を図るために面白さが優先され、放送の健全さがゆがめられるようでは問題だ。地域性は理由にならない。
若者を中心にテレビ離れが進み、視聴率競争や制作費削減で現場には疲弊が広がる。構造的な問題も横たわる。
在阪局だけではなく、業界全体の問題としてとらえなければ、再発防止は望めない。

 

(余録)「男子はすべからく女子に国政を委ねるべきだ」… - 毎日新聞(2019年6月24日)

https://mainichi.jp/articles/20190624/ddm/001/070/116000c
http://archive.today/2019.06.24-012304/https://mainichi.jp/articles/20190624/ddm/001/070/116000c

「男子はすべからく女子に国政を委ねるべきだ」。時は古代ギリシャ。劇作家アリストパネスの喜劇「女の議会」で主人公が熱弁を振るう。参政権を持たない女性たちが男装して議会に潜入し、男性から実権を奪い取るという筋立てだ。
民主主義の源流とされる都市国家アテナイだが、女性の地位は低かったとされる。「政治も文化もあくまでも男性市民中心に築かれていた」(桜井万里子著「古代ギリシアの女たち」)
ギリシャ同様、いにしえからの歴史を刻むローマでも、最近まで、女性の進出を阻む「ガラスの天井」は厚かった。ビルジニア・ラッジさんが初の女性市長になったのは3年前。胸に去来するのは「女性には、他者を気にかけ、問題に向き合う能力があるのに」との思いだ。
日本はどうか。世界各国議会の国際組織・列国議会同盟によると、下院議員に占める女性の割合は193カ国平均で4人に1人。10人に1人しか女性衆院議員のいない日本は165位。主要20カ国・地域(G20)で最下位だ。
「女性が輝く社会の実現に向け、女性教育に投資を」。ノーベル平和賞受賞者のマララ・ユスフザイさんは今週末に大阪で首脳会議を開くG20に呼びかけている。
性別にかかわりなく能力を発揮できる社会を目指す「男女共同参画社会基本法」の施行から20周年。G20首脳会議では、女性の活躍を後押しする関連会合も予定されている。一過性の行事に終わらせず、「ガラスの天井」を打ち砕く機運を高めるきっかけにしたい。

 

あすへのとびら 監視国家化に抗する 個の尊厳を守るために - 信濃毎日新聞(2019年6月23日)

https://www.shinmai.co.jp/news/nagano/20190623/KT190622ETI090004000.php
http://archive.today/2019.06.24-012509/https://www.shinmai.co.jp/news/nagano/20190623/KT190622ETI090004000.php

共謀罪法が成立して2年が過ぎた。幅広い犯罪について、計画しただけで処罰の対象とし、合意した全ての人に網をかける。内心に踏み入り、思想の取り締まりにつながりかねない立法である。摘発された事例はまだないが、法の危うさが薄れたわけではない。
そして、共謀罪とも関わって見過ごせないのが、改定された通信傍受法だ。今月から全面施行され、電話やメールの傍受(盗聴)に際して通信事業者の立ち会いが不要になった。捜査機関の制約を取り払ったに等しい。
情報漏えいの教唆や共謀も処罰する特定秘密保護法を含め、公権力による監視や情報収集を歯止めなく広げかねない法制度が次々と整えられてきた。情報通信技術の進歩と相まって、監視国家化が進む現状に目を凝らしたい。
通信傍受は、警察の施設内に専用の機器を置き、外の目が全く届かないところでできるようになった。裁判所の令状は必要だが、密室で不当な傍受が行われていないかを確かめるすべはない。
薬物や銃器に関わる犯罪に加え詐欺や傷害といった犯罪でも傍受が可能になり、対象者の範囲は大幅に拡大している。何かの嫌疑をかけ、特定の個人や集団の情報収集に使われる余地も増した。

<既に広範な情報が>

事後に当事者に通知する仕組みはあるが、記録を証拠として使う場合に限られる上、傍受された内容が全て分かるわけでもない。そもそも情報収集が目的なら、当事者は何も知りようがない。憲法が定める「通信の秘密」が有名無実化しかねない状況だ。
共謀罪も、あらかじめ目をつけた組織や個人の動向を探るための監視、盗聴に結びつく懸念が大きい。通信傍受だけでなく、盗聴器を仕掛ける会話傍受の法制化につながり、プライバシーの著しい侵害を招く恐れがある。
ひそかに情報を集め、個人の思想信条や交友関係を調べるといった公安警察的な活動も、法を後ろ盾に広がるだろう。既に広範な個人情報が本人に知らされないまま捜査機関に渡っている。その実態の一端が明らかになっている。
鉄道、バスなど交通各社、ポイントカード会社、コンビニ…。検察が内部で共有する一覧表には全国の300近い企業名が並ぶ。利用者の情報を各企業から入手する手順をまとめたものだ。警察の協力を得て作ったという。
情報の大半は裁判所の令状が要らない「捜査関係事項照会」で取得できると記してある。刑事訴訟法に基づいて情報提供を求める手続きである。具体的な理由を示さずにできるため、捜査とは別の目的で使われても分からない。
企業は本来、本人の同意を得ずに個人情報を提供できない。捜査機関の要請に応じるかどうかは任意だ。にもかかわらず、多くが無条件に応じていた。
個人の行動は今やあらゆるところでデータとして記録され、蓄積されている。集めた情報をつなぎ合わせれば、日々の生活はほぼ丸裸になる。インターネットの書き込みや閲覧履歴をたどり、内面をうかがい知ることも可能だ。
監視カメラの目から逃れることもできなくなった。国内には既に500万台が設置されているという。音声も同時に記録するカメラが増え、タクシーなどに備えつけられている。カメラの存在に違和感を覚えなくなった先に、至るところで会話が録音されて捜査機関の手に渡ることになるのか。

<誰もがわが事として>

監視や盗聴がはびこる社会は人を疑心暗鬼にし、自由な思考と主体的な意思形成を妨げる。民主主義の土台が掘り崩されていく。
監視国家化を拒み、どうやって個人の尊厳と自由を守っていくか。共謀罪法はやはり廃止を見据えた取り組みが必要だ。思想や言論の取り締まりにつながる危うさは、かつての治安維持法と重なり合う。警察の権限が強大化し、人々が監視と密告におびえる社会を再来させてはならない。
通信傍受は詐欺集団などの捜査には有効だとしても、適用する犯罪を限定し、厳格な要件と手続きを定めるべきだ。運用を監督する独立した機関も要る。
もう一つ大切なのは、プライバシー権を保障する法整備だ。憲法は人権保障の核に「個人の尊重」を置いている。プライバシーはそのために欠かせない権利である。現在の個人情報保護法は、事業者の義務ばかりを定め、守るべき権利が明確でないと中央大准教授の宮下紘さん(憲法、情報法)は著書で指摘している。
利便性などと引き換えに多くの人がプライバシーを自ら差し出している現状にも目を向ける必要がある。監視と管理の強化に利用されないよう個人データを保護する仕組みはどうあるべきか。誰もがわが事として考えたい。

 

<ファクトチェック 安倍政治の6年半>(3)森友・加計問題 ゆがむ「政」と「官」 忖度の疑念 消えないまま - 東京新聞(2019年6月23日)

https://megalodon.jp/2019-0623-1124-00/https://www.tokyo-np.co.jp:443/article/politics/list/201906/CK2019062302000155.html

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悠仁さまが秋篠宮家の「家庭教師」半藤一利に問うた難しい質問 - FRIDAYデジタル(2019年6月21日)

friday.kodansha.co.jp

この前、3ヵ月だけ女子大で講義をしたんです。そのとき、アンケートをとります、と4択問題を出した。

『太平洋戦争において、日本と戦争をしなかった国は?(1)アメリカ (2)ドイツ (3)旧ソ連 (4)オーストラリア』

そうしたら、50人中実に13人がアメリカと答えた。次の週に、『僕の授業を聞いてるのに、君たち13人はふざけてるのかね?』と聞いたら、大真面目だと言う。しかもその一人が手を挙げてこう言った。

『で、どっちが勝ったんですか?』

こうやって話していると笑い話のように聞こえますが、決して笑い話じゃない。これから来る令和の時代って、きっとこういう時代なんですよ」

 

イージス配備、受け入れ先に交付金を検討「説得材料に」 - 朝日新聞(2019年6月23日)

http://archive.today/2019.06.23-011135/https://www.asahi.com/articles/ASM6Q5G7VM6QULZU001.html

防衛省が陸上配備型迎撃ミサイルシステム「イージス・アショア」の配備先を対象に、新たな交付金を検討していることがわかった。配備候補地の自治体に受け入れを促す狙いがある。ただ、交付金と引き換えに配備を迫っていると取られかねないとして、政府内でも慎重意見が出ている。