(余録)「男子はすべからく女子に国政を委ねるべきだ」… - 毎日新聞(2019年6月24日)

https://mainichi.jp/articles/20190624/ddm/001/070/116000c
http://archive.today/2019.06.24-012304/https://mainichi.jp/articles/20190624/ddm/001/070/116000c

「男子はすべからく女子に国政を委ねるべきだ」。時は古代ギリシャ。劇作家アリストパネスの喜劇「女の議会」で主人公が熱弁を振るう。参政権を持たない女性たちが男装して議会に潜入し、男性から実権を奪い取るという筋立てだ。
民主主義の源流とされる都市国家アテナイだが、女性の地位は低かったとされる。「政治も文化もあくまでも男性市民中心に築かれていた」(桜井万里子著「古代ギリシアの女たち」)
ギリシャ同様、いにしえからの歴史を刻むローマでも、最近まで、女性の進出を阻む「ガラスの天井」は厚かった。ビルジニア・ラッジさんが初の女性市長になったのは3年前。胸に去来するのは「女性には、他者を気にかけ、問題に向き合う能力があるのに」との思いだ。
日本はどうか。世界各国議会の国際組織・列国議会同盟によると、下院議員に占める女性の割合は193カ国平均で4人に1人。10人に1人しか女性衆院議員のいない日本は165位。主要20カ国・地域(G20)で最下位だ。
「女性が輝く社会の実現に向け、女性教育に投資を」。ノーベル平和賞受賞者のマララ・ユスフザイさんは今週末に大阪で首脳会議を開くG20に呼びかけている。
性別にかかわりなく能力を発揮できる社会を目指す「男女共同参画社会基本法」の施行から20周年。G20首脳会議では、女性の活躍を後押しする関連会合も予定されている。一過性の行事に終わらせず、「ガラスの天井」を打ち砕く機運を高めるきっかけにしたい。