<ぎろんの森>党利党略の駆け足解散 - 東京新聞(2024年10月5日)

https://www.tokyo-np.co.jp/article/358544?rct=discussion

石破茂首相が1日の就任を待たず、9日に衆院を解散し、15日公示、27日投開票の日程で衆院選を行うと表明しました。就任から9日目の衆院解散は戦後最短。解散から投開票までの18日間は17日間だった2021年に次ぐ2番目の短さです。

ただ21年は衆院議員の任期満了が迫っていたので、任期を1年以上残す今回の解散は急ぎぶりが際立ちます。

そもそも石破氏は自民党総裁選で「主権者たる国民が判断できる材料をきちんと示すのは新政権の責任」と、解散は予算委員会などでの与野党論戦後と主張していましたので豹変(ひょうへん)ぶりは明らかです。

東京新聞は2日の社説「石破内閣が発足 選択材料示さぬ不誠実」で「臨時国会での与野党論戦は極めて短期間にとどまる。有権者に政権選択の材料を十分に示さないまま、解散に踏み切るのは無責任極まりない」「民主主義の根幹をなす衆院選に関する認識が総裁就任から数日で変わるなら、政治指導者としての資質を疑われても当然だ」と厳しく批判しました。

本紙は、自民党の都合で首相が交代しても、国民の審判を受けていないので、速やかに衆院を解散し、国民に判断を委ねることは解散の理由になると主張してきました。

ただその場合でも、首相にふさわしい人物か、引き続き政権を託すことが適切か、国民が十分判断できる情報を得ることが前提です。今回なら一方通行の代表質問だけでなく、双方向の予算委員会の開催が望ましい。短時間の党首討論だけでは不十分です。
 
地震に加えて水害にも見舞われた能登半島の復旧・復興対策や予算を審議、決定してからでも遅くはない。
 
石破氏はなぜ主張を覆してまで解散を急ぐ必要があったのか。やはり新政権のぼろが出ないうちに、野党の選挙態勢が整わないうちに、解散した方が得策との党利党略で判断したとしか思えません。
 
長年、政治改革を訴えてきた石破氏が総裁になっても、自民党の体質を改めることはできないのか。私たち有権者衆院選を機に、見極める必要があります。 (と