【政界地獄耳】岸田首相退陣 一番ツラかったのは信用して起用した麻生太郎、茂木敏充の非協力 - 日刊スポーツ(2024年8月15日)

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★6月28日、BSのテレビ番組で首相側近の党幹事長代理・木原誠二が首相(自民党総裁)・岸田文雄が秋の党総裁選に出馬するかどうか「わからない」と答えたが、政治記者には大きな発言と思われなかった。しかし、すでに岸田は次期総裁選挙に出るか否か逡巡(しゅんじゅん)していた。進むべきか引くべきか。メディア関係者や財界との会食を好まない岸田は日々、自問自答を続けていたが、強い意志を持って再選準備を進めると言い出さないことに木原は不安を感じていた。近しい人物には「元気がないようなので声をかけてください」と励ますように促していた。
★14日の退任会見で岸田は「総裁選挙では自民党が変わる姿、新生自民党を、国民の前にしっかりと示すことが必要」とし、それが「自らが総裁選挙に出ず、身を引くこと」と説明した。自身の在任中の功績を並べるとともに、後半は旧統一教会問題や派閥の裏金づくり、政治とカネの問題に触れ、党内が膠着(こうちゃく)状態に陥っている中、自らが率先して派閥解消、政倫審出席、パーティー券購入の公開、上限引き下げなどを断行したが、国民には「改革になっていない」と批判され、党内からは「自民党をどうするのか」と厳しい批判を浴びた。岸田は「国民の信頼あってこその政治であり、国民の方を向いた重い決断」とした。
★自分はやれるだけのことは一生懸命やった。それでも国民にも党内にも受け入れられなかったことへの強い無念さがにじむ。一番つらかったのは、自分が信用して起用した幹事長・茂木敏充や副総裁・麻生太郎が派閥解消を拒否し、最後まで古い自民党を守り、岸田に非協力だったことだろう。退陣すれば党内で留飲を下げる人はいるだろう。だが、国民は自民党を許さない。このままでは総選挙で勝てないと判断したのだろう。後継について岸田は「政治とカネの問題や政治の信頼回復へ、改革マインドが後戻りしない方であってほしい」とした。この腐りきった自民党を立て直せる人物はいるのか。(K)※敬称略