【政界地獄耳】岸田再選論…不思議な自民 - 日刊スポーツ(2023年10月21日)

https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/202310210000096.html

臨時国会20日に開会し、衆院長崎4区、参院高知・徳島選挙区では補選が行われている。しかし岸田内閣の支持率は朝日(29%)、毎日(25%)、読売(34%)、共同(32・3%)、時事(26・3%)と、軒並み過去最低を更新。政権は正念場を迎えている。19日、立憲民主党小沢一郎はX(旧ツイッター)に「期限付き。不人気に慌てて碌に議論もなく決めるから筋悪になり、逆に事態を悪化させる。結局、この人物は国民の生活ではなく自分の保身と目先の解散総選挙のことしか考えていない。政治家は先を見ないといけない」と政権の迷走にくぎを刺した。

★ところが自民党とは不思議な政党だ。首相・岸田文雄好材料がないことを承知で19日、自民党最大派閥・安倍派(清和政策研究会)座長の塩谷立は来年の総裁選で岸田の再選を支持するかを問われ「(近づいた段階で)改めて検討するが、基本的にはそういうことで我々は臨んでいる」と岸田支持を打ち出した。最大派閥としてはここでいろいろ注文を付けたいはずだが、安倍派は8月末、派閥の会長の後継人事で失敗し、集団指導体制を組まざるを得なくなり、総裁候補を一本化できないという弱点があるものの、この時期の岸田支持には政局感のなさを露呈したといえる。ただ、その派閥の骨格ができあがった9月3日、同派の参院幹事長・世耕弘成は講演で岸田を評し「路線をしっかり引き継いでいる。それをさらに伸ばしていくのであれば、再選してもらいたいというのが派のコンセンサスだ」と首相再選論をぶち上げている。

★最も、この発言当時は内閣改造を前にして、思惑含みの発言として扱われたが、こう見ると岸田がいかに低空飛行しようとも、党内のそれぞれの派閥事情から岸田再選でしのごうとするエネルギーが働いているのだろう。ここでも国民の声は聴いてもらえない。(K)※敬称略